１２１松 ページ30
「……A」
「はい？」
「………今、楽しい？」
「はい、とても！」
にこやかな表情でAは迷いなく言ってくれる。俺なんかと一緒に行動してそれで楽しいと言ってくれるなら、それだけで俺の心も高揚する。……この笑顔を守る為なら、きっと俺は何だってやれると思う。多分。
前の俺だったら底辺のクズに何ができるってんだって思っていただろうけど、そう思えるぐらい俺はAに好意を寄せている。
クズな俺でも笑顔を向けてくれて、人を思いやる事が出来て、とても優しく明るい女の子。
異性に対する好意。それは、いままでトト子ちゃんに抱いていた好意とは別の種類のもので…。
…ちゃんと好きになるってこういう気持ちなんだなって、今ようやく実感した。
「ウーパールーパー可愛かったですね」
「そうだね。次行く？」
「はい！」
もう互いに大分心をさらけ出せているとは思うけど、まだそれは友人としての領域だけ。Aはそれで満足しているのかもしれないけど、俺の心はもうそれだけでは満足出来なくなっている。
だけど、Aに俺が抱いている好意の気持ちを伝えたらどんな反応をされるのか、考えるととてつもない不安感に襲われる。気持ちを伝えた結果、この笑顔を失う事になったらと思うと、それだけで息が出来なくなりそうだ。
伝えたいのにそれが怖い。どうしようもない矛盾が俺の中で渦巻いて凄く苦しい。こういう時に思い出すのは、十四松が好きになった子に告白したあの雨の日。
……十四松も、こんな気持ちを抱えていたのだろうか…。そう思うとアイツは相当な覚悟を持って挑んでいたんだと痛切に思う。十四松が一週間前に俺に言った、絶対にAを守れという言葉の重みが今になって響いてきた。
「一松さん」
「え？」
「一松さんは、今、楽しいですか？」
隣で歩くAが俺の顔を見ながら問いかけてきた。それは俺がさっきAに言った言葉と同じもの。
「…楽しいよ」
「なら良かった。一松さんしかめっ面してたので」
「マジか、自覚無かった」
「何かあったのかなって心配しちゃいました」
安心したように顔を綻ばせるAは歩く俺の前に移動し、正面から俺と向かい合う形になって足を止めた。
「一松さんが楽しいって思ってくれているなら、私も楽しいし嬉しいです」
「―っ」
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渚(プロフ) - ことみさん» ことみさんコメントありがとうございます！イラストをお褒めいただき嬉しいです。これからも励んでいきます！応援ありがとうございます！ (2019年7月27日 22時) (
レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 絵が上手過ぎて脱糞する。。。 更新、頑張ってください！一気読みしてきました♪タイトル見た瞬間あ、これ、神作品やわ。って思ってw応援してます！ (2019年7月27日 5時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - シヴァさん» シヴァさんコメントありがとうございます！イラストを誉めていただけると本当に嬉しいです！まさに生きる糧になります！ (2019年7月5日 17時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
シヴァ - 絵がすっごく上手くてビックリしました!!絵があると想像しやすくてとっても面白いです!! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 39ad7af53b (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 三月の糸姫さんコメントありがとうございます！イラストたまにしか載せられませんけど、お褒めいただいてとても励みになります！これからも更新頑張っていきます！ (2019年5月9日 0時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渚 | 作成日時：2019年1月14日 22時
