『スイカ割り4』 ページ6
こいつの名前なんだっけ?…達也だっけ?
達也クンは俺の隣に座って女子組のほんわか空気を一緒に眺め始めた。
相変わらずのジト目、しかも無言。
…すっげぇ気まずい。
なんで何も言わないのこいつ、つかなんで俺の隣に座ったし。そっちから声掛けてきたんだからなんか喋れよ!この空気ほんと嫌なんだけど女子組の中入りてぇ入れねぇけど!
「あのお姉さんさ」
「ハッ…、え、何?」
「じいちゃんから地毛だし裸眼だって聞いたんだけど、ほんとなの?」
不信感が顔から滲み出ている。ジト目だったのはAを見ていたからなのか?
達也クンからAに視線を移す。
レナちゃんにスイカの位置を教える事に夢中でこっちの会話には気付いていないようだ。その髪は麦わら帽子を被ってはいるけど、太陽に当たっている部分は光に反射してキラキラと輝いていた。
「……本物っぽいよ。俺しばらく一緒に暮らしてるけどカラコンとか鬘とか見たこと無いし、ずっと家にいるからカラーリングとかも行ってないし」
「………ふーん」
分かりやすい反応だ、明らかに信じていない。
達也クンはAの観察をしながら何かを思案しているように見える。その表情に俺は危機感を覚えた。
もしかしたらこれは、引き金になるのではないか?
子どもは好奇心旺盛だ。空気とか関係なく地雷を踏み抜く可能性は十分あると思う。
この世界がアニメみたいな世界で、ピンクとか水色とか三次元ではあり得ない地毛が当たり前の世界だったらいいけど、そんな世界ではないみたいだし。
そりゃあ俺もAの容姿は気になる。でもそれで距離が崩れるのだったら話は別だ。
ーーパコンッ!
「当たった!」
「おー!ヒビ入ってるよ!」
「やった!じゃあ次はお兄ちゃんの番ね!」
Aとレナちゃんが木刀と手ぬぐいを持って此方に来た。達也クンにそれらを差し出すけど、彼は受け取ろうとせずジッとAを見つめたまま動こうとしない。
「…達也君?」
「………あのさ」
きた。低くなった達也クンの声に、頭の中で警報音が鳴り響く。
止めなければと本能的に思った。
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時