６２松 ページ32
《まぁ金に関しては問題ないなら安心したわ、思ってたより元気そうだし。一松のことだから闇こじらせて引き込もってんのかと思ってたから》
「あー、一時期はそんな感じでしたね。部屋の隅でキノコ生やしてるみたいな」
《あ、やっぱ？よくそんなんから今の状態になれたよねー、そいつ一回闇入ったら俺等でも戻すの苦労するのに》
《その辺めんどくさくなかったAちゃん？》
「正直最初の頃はめんどくさかったです」
《Aちゃんドストレート!!》
「…嫌じゃなかったの？…途中で投げ出そうとか考えなかったの？」
不機嫌と不安が混ざったような顔で一松さんが私を見る。
この人は強気な時もあるのに急にこうして弱気になったり、他人に対して気遣いしてると思ったら距離が縮まった瞬間ズバズバ来たり…
生きるのがちょっと不器用で、天の邪鬼で、人に優しい人なんだって事を早い段階で知ることが出来たから、今まで投げ出さずにいられたんだと思う。
「嫌だったらとっくに警察あたりに投げてます。それに元々は私が一松さんを此処にいるように引き留めたんですよ？」
「それはそうだけど…」
「むしろ私が一松さんに嫌らわれていないか心配でした」
「え、なんでそうなるの？」
「だって滅茶苦茶な理由で引き留めてたと思うので。もう何を言ってたかよく覚えてないですけど」
自分勝手な持論だったと思う。一般的な理論からかけ離れてたと思う。支離滅裂で、目的がハッキリしてない曖昧な理由で、一松さんをここに縛り付けてたんじゃないかと、後になってずっと考えていた。
中途半端に人を助けようとしたって、逆に傷付けてしまうだけだって知ってるのに…。
「…あー、なんか前ニャンコもんな事言ってたっけ…。確かに最初は何言ってんだコイツって思ってたけど」
「あ、やっぱり思ってたんですね」
「でも、嫌じゃなかったよ。あの時引き留めてくれなかったら本当に野垂れ死んでたと思うし。……今の生活も…、その…嫌いじゃないし…」
視線を外しながら言う一松さんの目にもう不安の色は無くて、その代わりに柔らかみがあるような、瞳の奥がどこか優しげに見えた。
頬も赤くなってるように見えるけど、多分気のせいじゃないと思う。
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渚(プロフ) - 妹系長女さん» 妹系長女さんコメントありがとうございます！ブリッチしてしまう程楽しんでいただけるとは光栄です！パート1の方にもコメントして下さりありがとうございました！励みになります！ (2019年7月3日 12時) (
レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
妹系長女 - え、やっぱりこの小説マジで神ってるよね！そうだよね！だってこの小説読んでるとつい、ブリッチしてしまうんですもの...w (2019年7月2日 20時) (レス) id: 2d0849d162 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - ゆっくりでいいささん» ゆっくりでいいささん、コメントありがとうございます！私も個人的にこのイラストが一番気に入っています！ (2018年12月16日 19時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりでいいさ - ６５話の一松の顔で大草原だったわ (2018年12月16日 16時) (レス) id: f5def87010 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - いつもイラストと一緒にお話も楽しみにしています！どっちも可愛いですね。一松のゲス顔もなんとも…。小話のリクエストで、スイカ割りとかスイカのお話みたいです（説明下手でごめんなさい）よろしくお願いします！ (2018年1月10日 21時) (レス) id: 4940cabbbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渚 | 作成日時：2016年6月6日 21時
