【おそ松さん】ガラスの猫は銀の月に落ちる２

４２松　一松side ページ12

一松side



　

　





俺がこっちの世界に来てだいぶ経った。

季節は梅雨に入って、雨はあまり降ってないけど、蒸し暑い日が続いている。
　


　


　



　




「満月の日まで、あと五日ですね」




　
　

　


　



改めて考えるけど、俺って今異世界にいるんだよなぁ…。

自分のいた世界と世界観はそう変わらないから、実感はあまりないけど。
　

　


　

　

　


　

「あと四日かぁ…。なんかあっという間ですね」

　


　

　

　

　



彼女に会えたおかげで生活には困らなかったし、何より女子と一つ屋根の下で一ヶ月くらい過ごせた。

それだけでこっちの世界での生活は充実していたと思える。

暗黒大魔界クソ闇地獄カースト脱と言っても過言ではない。
悪いなトッティ、今俺お前より絶対ステータス上になってるわ。
　


　
　

　
　





「そうだ！明後日は何かお土産持っていきますか？」


　
　



　

　

　
……でも…そんなリア充生活も、もうすぐ終わる。

いつか来るとは思っていたけど、…思ってたよりあっけなくその時は近づいてきた。


こういう今生の別れって近づくにつれてもっとこう…、お互い気まずくなっていったりするもんだと思ってたけど、全然そんな空気感じない。


いままでと何も変わらない距離感。

こんなだから「帰る」って実感も湧かないのかもしれない。




　

　

　




「いよいよ明日ですね」

　


　

　



　


そんな中で彼女は、帰る日が近づくごとにその日数を言う。

まるでカウントダウンみたいに…。


毎日告げられる言葉の裏で、彼女は俺との別れをどう思っているのだろうか…。



　

　

　


　

「一松さん」


　




　

　
まぁ、こんな社会のゴミを養う生活が終わって清々するって思ってんなら、別にいいけど。









　






　




　




　








　

……でも…、少し寂しい…かも…。

４３松→←『聞きたいこと＋α』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す