クラシック・ローズ【朔間零】 (ページ8)

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きっと見破ってくれないでしょうページ8

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「おはよう。Aちゃん」
「おはようございます」

事務所で待ち合わせていた羽風くん。
待ち合わせた時間よりも15分早く来てくれるから
こちらとしても助かっていた。

「羽風くん、帽子被っただけで街を出歩くのは感心しないなぁ」
「えぇ～？朝と夜しかその辺歩かないから見つかんないよ」
「もしものことがあったらどうするの！」
「もしもの時はもしもだよ。今が大丈夫だから平気～」

早く、現場に向かおうと急かす羽風くん。
もうお小言を聞く気はないらしく、しょうがないなぁと
折れてしまった甘い甘いマネージャーな私は
携帯のメモ帳を取り出して、今日の予定を
羽風くんに伝え始める。

「今日は、まずこれから朝のラジオ番組に、
それが終わったらファッション誌の撮影」
「雑誌の撮影ってこの前言ってたデート企画のやつ？」
「うん。そうだよ」
「ふ～ん、可愛い女の子いるかなぁ」
「羽風くんらしい」
「ふふ、俺は女の子に目、ないからね～」
「予定で、19時からUNDEADの皆が揃ったらジャケット撮影だけど」

大丈夫？と訊くと、羽風くんはにっこりと
今日初めての一番のスマイルを見せて大きく頷いた。

車移動のために、駐車場に停めてある車に乗り込む
零みたいに助手席に座ってくることはなく
大体みんなが決まって座る後部座席に座った羽風くん。

「あ。零くんの匂いする」
「昨日、乗せたからね」
「そっか。零くんって助手席乗るんでしょ？」

え？と、思わず変な声が出る。
なんで知っているんだと瞬きの回数も早くなる。
バックミラー越しに羽風くんを見れば
相変わらずニコニコと目を細めて笑っている顔しか伺えない

「あぁ、安心して？俺はそこ座んないよ
だってそこは零くん専用らしいじゃん」

言ってたよ、零くんと付け足して楽しそうに喋る羽風くん。

夜に零に会ったら足でも蹴っておこうか。