クラシック・ローズ【朔間零】 (ページ4)

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患いの蜂の羽音ページ4

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季節は巡って秋の現在に戻るのだが。
まだ一年とは言えないが、付き合いも長くなってきたね
と言える頃だろうか。

マイナスな言葉で言うと、恋人の
倦怠期に入るくらいの付き合い。

「零。車移動って言ったら助手席に乗り込むのやめなさい」
「いいじゃろう？いっつも、二人きりになれるの
この時間しかねェんだから。ちょっとくらい」
「それで、零の顔バレて車越しに写真撮られるの私やだからね」

安心しろ～と、足を組んで偉そうに…
まあ実際は偉いんだけど、飲みかけの
トマトジュースを一口飲む零をチラ見して
車のエンジンを発進させた。

「次、なんだっけなぁ」
「次は、事務所に戻って雑誌のインタビュー」
「テレビガイドか」
「そうそう。それ終わったら今日の仕事終わりだから
もうちょっとの辛抱だから我慢してね」
「我輩、もう大人なんじゃからそれくらい我慢出来るわい」

まったくもう、とため息交じりに言う零だが
呆れてはおらず、むしろ楽しんでいるような
嬉が入った声色だったから私も
ニコリと口元を緩めて夜の沢山のビルが
キラキラとネオンのように光る街並みを進んでいく

「今日は、送ってってくれるんじゃろう？」
「あ～…」
「む、残業でもあるのかえ」
「別にないけど」
「ならばともに帰ろうぞ。なんなら、俺様の家に
招待してやってもいいんだぞ～？」
「嫌よ。零と一緒に寝たら朝起こす、私の
大変さにもなってみてよ」

「くく、一緒に寝るって響きいいのう」
「あ」

あまり自覚はなかったが、ふと放たれた言葉に
私はうう、と口を思わず噤む。
そういうところに反応して一言添えてくるあたり
モテ男というか、キザというか。

「もう着くから。その砕けた口調仕舞う準備しなさい」
「分かっておるよ」

ああもう、零といると調子物凄く狂わされる。