きっと雪になる ページ3
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出会いは、冬だった。
ここの事務所に所属すると立候補した朔間零が
訪れたのが、私たちの最初の出会い。
「初めまして」
「初めまして。朔間零と申します」
金髪の男の子と二人で訪れてきた時は
一体、なんの花形の美形がここの事務所に
入ってきたんだよ、と突っ込みを入れたが
たびたび、彼らが卒業までこの事務所に
通ってくれたおかげか、いつの間にか零との
絆が深まっていった。
「のう。A」
「零。私、年上なのよ？さん付けくらいしなよ」
「でも歳は二つしか違わんじゃろう。別に構わんだろう」
「貴方が構わなくても私が構わないの！」
「Aは我儘な子じゃ」
くつくつと笑って逆に私があやされる立場。
これが嫌だと言えば嘘になるから、うまく
彼を拒めなかった私も私で悪かった。
「春からは、我輩――UNDEADはここの事務所で
芸能の幅を広げていくつもりじゃ」
「それが、どうかしたの？」
「夢ノ咲を卒業したら、一層お主との時間が増えるじゃろう」
「そうだね」
じゃから、とその声が優しく甘かったのは
今でも忘れられない。
そっと、彼の指先が私の髪に触れる。
髪には触られた感触とか、そういうのは
ないはずなのに今、この人に触られたら
すっごく熱くなって変だ。
「A。UNDEADのマネージャーとして我輩と
愛しき仲間たちのサポートをして欲しい」
まるで愛の告白のように紡がれた言葉が
ドキドキしてしょうがなかった。
でも、そのあとの言葉が本物の零の想いだったんだろうけど
「贅沢を言うが、…Aと過ごすうちに
お主に惹かれた。よければ、朔間零の恋人として
我輩の傍に…いや、隣に立っていてくれぬか」
言葉選びに慎重になって、眉が下がってて。
顔が面白くてつい、笑いながら
まだその時の芸能人との恋愛の重さと度胸に
気づかずに私は言ってしまったの。
「喜んで」
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作者名：かみうじ | 作成日時：2019年10月28日 14時
