クラシック・ローズ【朔間零】 (ページ1)

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この問題に挑戦してごらんページ1

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たった一つの愛を貴方に
キャッチコピーはうってつけの言葉。
真っ赤な口紅が、よく映える綺麗なモデルさんだった。

『お～、いいねぇ。もうちょっと寄ってみて？』

愛想よく、静かにレンズ越しの誰かに向けて
口端を少し上げて、笑い合う男女。
女のモデルは、最近有名になってきて
そこそこ名乗りをあげているモデルである。

そして、その隣に並ぶのは、

『零くん、ちょっと首元に口紅付けようか』
「はい」

零。そう呼ばれた男が背筋を伸ばして返事をする。
容姿端麗、としか表せられない
絵画から飛び出してきたような姿見に皆惚れ惚れしている。

絶賛、世を騒がせ中の大ブレイクタレント。

朔間零。また、彼のユニットをUNDEAD。
そして彼の所属している事務所をRhythmLinkという。

『キスマークの方がいいんじゃないですか？』

どこかのスタッフが申し出た。
はぁ？と思わず声を出してしまいそうになるのを必死に堪える

『モデルさんに付けてもらう、ってことですか』

『そういうの、事務所さん厳しそうだから
マネージャーさんに許可頂かないと』
「…えっと」

私は、その朔間零の専属マネージャー。
ただの、そう、ただの。

「そういうのは、朔間くん本人が決めることでして」
『そうなんだ。じゃあ、零くんどう？』
「…わが――僕は、別に構いませんよ」
『よし来た。じゃあ、今すぐつけちゃおう』

女のモデルの方は、全然OKだそうで。
チラリと零がこちらを伺うように見てきた。

顔が、機嫌を伺っているようだったので
ムカついたからふいっと顔を背けた。

『はい、できましたよ』

首元に軽くちゅっと
赤の口紅が零の綺麗な白雪のような
白い肌に刻印のようにつけられる。

まるで、縛り付ける跡のよう。

『どう？零くん、くすぐったかった？』

慣れ慣れしい女のモデルが、私に
聞こえる声で零に聞いた。それも厭味ったらしく。

心なしか、彼も彼でどこか嬉しそうな
様子で、彼女に対して意見を述べる。

…これは、私の見方の問題だけど。

「そうでもないのう」

その顔面、今すぐにでも蹴ってやりたい。