階段から落ちたら「彼女」の世界にいました。

14段目 ページ15

及川「なんで逃げるの、A」

スエットの中に手を入れ、お腹を掻きながら歩いてきた徹

「なんでもないし、少しびっくりしただけ
早くご飯食べちゃって…」

そんな徹に振り向きもせずに答える
すると、へぇと呟いた

及川「俺今日10時から授業
それが終わったら暇だから遊びに行く？」

「え、いいの？」

ばっと振り返るとニコニコと笑いながら私を見る
そして席につくと、

及川「うん、なんか予定とかあった？」

作ったご飯を頬張りながら私に問う

「ないよ！
どこ行く？」

及川「Aの好きなところでいいよ
なに、楽しみなの？」

「えっ、まぁ...うん」

照れながらそう言うと｢かーわい｣と呟いた徹
そんな徹を睨みながら私もご飯を食べ始めた

及川「…なんか新婚さんみたいだね」

「…そう？」

及川「Aのお母さんとお父さんにも挨拶に行かなきゃ」

「えっ」

及川「へへーん」

そう笑いながら言う

及川「んー、美味しかった
ごちそうさま！」

「はーい」

及川「じゃあ俺、準備してくるね」

半分ずり落ちたスエットのズボンを上げて洗面所へ向かう徹

そんな徹の後ろ姿を見て、私は急に抱きつきたくなった

「(…抱きついたらどんな反応するかな)」

そんなゲーム感覚で私は徹に後ろから抱きついた
すこしビクッと体を揺らしてなに〜といいながら私の頭を撫でた

「ん〜」

及川「なに、甘えてんの？」

「いい匂い」

及川「俺これから準備するんだから！
ほらほら邪魔しないの」

そう言われて抱きつく力を弱める
くるっと体の向きを変えられたと思うと、ぐいっと徹に腕を引っ張られた

及川「…何して欲しいの？」

耳元でそう囁かれて背中がぞわっとする

及川「なにかして欲しいから抱きついたんじゃないの？
キス？」

「ちがっ…」

及川「ちがったんだ
でも俺がしたいからしちゃうもんね」

ぐいっと顔を上に向かせられると、徹は自分の唇を押し付けてきた

「ん…っ！？」

私のことはお構い無しに何回もキスを落とす

「ん...っ」

苦しくなって口を開けると、その隙に舌を入れてくる
そしてリップ音が静かな部屋に響いた

及川「…っとと、大丈夫？」

「だ、いじょぶ…「じゃないねぇ」へ？」

及川「今日は...お家デートしちゃう…？」

耳元でそう囁かれて顔が赤くなる
思い切り徹を押しのけ、こう叫んだ

「が、学校でしょ！！」

そう言った私を見て呆然としていた徹だったが、すぐにフッと笑い始めた

そんな徹を私はポカポカ叩いた

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