流刑地 ページ36
朝から配られる新聞には、スリー事件の真相と共に
Aの言葉についての記事が取り上げられていた。
『罪人にとっての幸福は“死”か“生”か』
「……ふむ、実に興味深い記事だ」
「彼女は何を考えていたのでしょうか」
「さて、何だろうね」
「ウィリアム兄さんにも分からないのですか？」
「ルイス、女性の心は難しいんだよ。
彼女と話していてよくわかったよ」
新聞を折りたたみ、ルイスの
「うん、今日も美味しい」と満足気に微笑み、どこか遠くを見つめた。
「彼女は何を思っていたのだろうか……」
考え込む兄の姿に、ルイスは疑念を確信に近づける。
数ヶ月後、自慢の行動力で生活を落ち着けたAに客が訪れる。
ノックされた扉を開けると、その先にいたのは焦がれていた人だった。
「どうも。お元気そうで何よりです」
「ウィ、ウィリアム様！？
どうしました？こんなところに来られるなんて……」
すっかり貴族感が抜けたAを前にして、ウィリアムも驚く。
しかしすぐに安心したように微笑みを見せた。
「いかがお過ごしだろうかと気になりまして」
「まぁ！お手紙を書いた方がよろしかったですか？」
Aがからかうように笑い、ウィリアムは思わずぼうっとしてしまった。
こんなふうに笑えたのかと見入っていると、Aから顔を覗き込まれる。
「もしかして疲れていますか？
ここに来るまでかなり時間がかかったはずですから、当たり前ですね。
どうぞ、お茶をお淹れします」
家の中へと促されるが、首を振って遠慮したウィリアムは
申し訳なさそうな顔をした。
「良ければ外でお話したいのです。
僕の我儘を聞いてくださいますか？」
「我儘……貴方が我儘を？
ふふ、それはとても素敵ですね。
ええ、いいですよ。丁度いい場所を見つけていますので」
ウィリアムは他の仲間に少し移動すると伝え、Aと2人でどこかへ向かう。
モランたちは流刑地を観光しようと足の向きをバラバラにして散らばった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒスイリ - いや...もう...凄すぎます...！まるで漫画を見てるようでした...！最後もとっても感動してもう...涙が止まりません...読ませていただいてありがとうございました...! (11月7日 23時) (
レス) @page41 id: 5f5913be98 (このIDを非表示/違反報告)
ウェイウェイ(プロフ) - 華音さん» ご感想ありがとうございます！ベタ甘なシーンは少なくなってしまいましたが、楽しんでいただけて良かったです！ (2021年7月21日 2時) (レス) id: d110526ff5 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - 初めまして^ - ^憂国のモリアーティアニメを観ていて大好きで全てラストまで読ませて頂きました（＾ν＾）とても感動致しました(*^^*)ラストは泣きそうになりヒロインが最後ウィリアムと再会した夢を見ながら亡くなっていった辺りが感動的でした♪ (2021年7月20日 22時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
ウェイウェイ(プロフ) - 月時計.さん» ありがとうございます！読み手となる人の感情を動かせたことに嬉しく思いました。最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2021年5月22日 20時) (レス) id: d110526ff5 (このIDを非表示/違反報告)
月時計.(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白かったです…！！最後は少し泣きそうになってしまいました(( (2021年5月22日 17時) (レス) id: eafe4560e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ウェイウェイ | 作成日時：2021年3月16日 23時
