むすんでひらいて、数えて深さ ページ3
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苦しい。
花がほろり、ほろほろりと手の中へと落ちた。手からこぼれ落ちそうなほど出てきて、呼吸が苦しい。咳き込み、手に持つものを知られないようにと手の中に広がる花びらを押し込んで隠しては、ベンチに駆けて座る。涙と共に濡れた花弁をどうにか後ろへと落とそうとしたときだった。呼ばれたくても呼ばれない、手が届かなかった彼が、そこにいた。
彼を諦めるのに髪を切った。彼を諦めるのに、彼の行動に合わせるのもやめた。思い出すにはあまりにも苦しくて、
呼ぼうとしても声がつっかえて、また花が出てきそうになる。
「あ、……」
「A……？だよね、久しぶり！髪すごい切ったね〜？
……なんか具合悪そうだけど、大丈夫？座って？」
「ううん、大丈夫」
心做しか嬉しかった。会えたことにか、心配してもらえたことにか、もしくは具合が悪いだけで済んだことにか。でも鼓動は、自然と早くなっていく。目を合わせるだけでこんなにドキドキするなんて。艶やかなオレンジのくせっ毛をおどおどと辿り、目線を泳がせる。
＿＿＿＿＿刹那、またあの吐き気が襲いかかる。見られまいとビニール袋を広げ、零れる花を、眉間に皺を寄せながら見た。……花壇の花や図鑑を見るのが好きな私にはすぐにわかった、スイカズラだ。白から黄色に変わって、やがてそれがいい兆候を表すだとか。だいぶと昔に読んだことだから、きっと名前以外は間違えていると思うけど。
「そんなに覗き込んで、何か悪いものでも入ってたの？ほんとに、大丈夫……？」
うんと小さく頷いて、何かいい答えが返ってくるんじゃないかと期待して、思い切って聞くことにした。怖くてたまらない。更に力強く脈打つ、今すぐ破裂しそうだ。
「明星くん、なんでそんなに……私に優しくするの？」
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作者名：合作 x他5人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年12月18日 22時
