ちょっとちょっと、太宰さん！？ストップストップ！！【文スト】

２０．試験日和 ページ46

――翌日・朝

　太宰さんが寮に敦君を迎えにでた後。谷崎くんと国木田さんの打ち合わせを尻目に、乱歩さんに渡す地図を持ったか確認をする。
　遠征！ とまでは行かないが、そこそこの距離がある今回の事件現場。電車とバスの乗り継ぎが難しい位置にあるため、その乗り継ぎまでのお見送りを、乱歩さん直々に仰せつかった。
　乱歩さんに同行する事は度々ある。というのも、初回、天真爛漫な彼を可愛いなと思っていた矢先、あそこの駄菓子屋に寄ろう！ と提案され、キラキラと地方のお菓子を眺めるから買ってしまった。本人に言ったら怒られるかもしれないけど、弟･妹属性の人が周りにいた経験がちょっとしかない。エリスちゃんしかない。断る理由もなかった。
　Aを連れてけば大抵のわがままは聞いてもらえる。と乱歩さんは言われた。“ちょろい”とも忠告的な感じで言われたけども、こればっかりはどうにも......。

「ほらほらぁ、ぼーっとしてないで出発！」

『はい！』

　風は少なく、広く薄く広がった青色に、白い絵の具をうすーく伸ばした雲。天候はここ最近で一番いい。
　敦くんは晴れ男なのかな。私の入社試験日は夏終わりの肌寒い雨の日だったから、敦くんには良い意味でも悪い意味でも記憶に残る入社試験になればいいな。多分合格できると思うし。太宰さんが推してるんだから、逆に合格してもらわなきゃ困る。

「今日は何にしようかな〜」

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