特別な私の皇帝2【野坂悠馬】

ボタンかスイッチかなんか ページ33

朝食とか色々済ませてバスに乗る。席の都合上、私が一星の隣になったから野坂がすっごく怒ってた。そこまで気にする必要とかある？





席に着いて数分、バスは出発した。



「それにしてもすげーよな、Aが髪結ぶとか。慣れないぜ」



席が前の剛陣さん。その言い方なんかムカつくんですけど。



『私だって一応こういうの気にするんですから』




ちょっと怒りながら言うとさすがに反省した、っぽい。分からないけど。



「あの、Aさん。体調とか大丈夫ですか？お疲れだったら寝てもいいんですよ」



一星はどこまでも気遣ってくれる。ほんと、こういう風になりたかったなぁ…。



『じゃあそうする。
あれ、何持ってんの？』



「あ、あ、えっと…
持っててください、って監督に頼まれたんです…」



一星が持ってるのはボタンかスイッチかなんか。監督は何持たせてるんだ。



『へぇ。なんだろな、それ。押したら爆発したりして』



冗談まじりで言ったつもりだったけど、一星は真に受けちゃったのか青ざめてる。



『ちょ、冗談だってば。大丈夫だって、何も起こらないでしょ』



「あ、はい…」



それでも表情は暗い。脅したつもりはなかっんだけどな…。





しばらく寝てたら、急に聞こえた音楽で目が覚めた。



『うるさ…』



周りを見てみたら、剛陣さんがあのボタンかスイッチかなんかのを踏んでた。灰崎がなぜか焦ってて。



一星は気になったのかもう一回押す。そしたらまたうるさい音楽。



「またかよ！
おい！誰か音量いじるイタズラでもしてやがんのか！？」



これは音量いじるやつなの？



確認したくて一星に借りて連続で押す。



「あっーうっせー！ふざけんなぁー！」



灰崎が叫ぶと、何回も大音量で音楽が流れた。なんだ、イタズラしたくて用意したんだ。



『ほら、爆発じゃなかったじゃんか』



「そうですね…」



安心するはずなのに、どこか悲しげな一星。今の間でなんかあったのか？

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