特別な私の皇帝2【野坂悠馬】

理解不能な行動 ページ20

『はぁ…』



夜、ため息をつく。なんで一星を…。



『もーう、どうすればいいんだよー！』



小さい声で言う。結構音とか聞こえて迷惑になるから仕方なく。



ベッドをゴロゴロ転がってたら写真が目に入った。



それは野坂との写真。アメリカに行く前に撮ったやつ。いらないって言ったのに勝手に撮って。



本音は欲しかったけど。



野坂…いつ帰ってくんだよ？一緒にプレイするんだ…。



少し寂しく思ったとき、ドアをノックする音が聞こえた。



『どうぞ』



急いで写真をしまって答える。もう遅いからはやく寝たいんだけど。



「失礼します。
すみません、こんな遅くに…」



入ってきたのは一星だった。あのときの態度とは違ってちゃんとしてる。たまたまだったか。



『何か用でも？』



「お礼が言いたくて。僕の味方をしてくれて、ありがとうございました」



今？と言いたくなるが、わざわざ来てくれたから許す。



『いやだったんだよ、一星は悪くないのに裏切り扱いされてるのが。あいつらは気にすんな。私は何があっても信じるから』



昔の私なら信じるとかしなかった。人間なんて裏切る塊で、人を平気で捨てるようなやつ、そう思い込んでた。



でも野坂に会って変わった。その思い込みは間違ってたことに気づいた。野坂が私を好きになってくれたから、信じることができてる。



野坂は特別だ。



「Aさんは優しいですね、そこまでしてくれるなんて」



そこで一星は驚く行動を取る。





一星は触れるくらいの距離まで近づいたんだ。



『おい、一星…』



「僕もAさんを信じます。だから…





裏切るなんて、しないでくださいね…？」



悲しげな表情で言われて、うなずく。
もともと裏切るつもりなんて一切ないけど。



「あ、忘れてました」



ドアに手をかけ始めたとき急に振り返り…





「…では、失礼します」





一星は私の頬に一瞬だけ唇を当てた。



それに気づいたのは、一星が完全に部屋を出てから。



『待てよ待てよ…？』



思考能力がおかしくなったか？全然回んない。



一星のしたことのせいで、寝たいのに寝れなかった。

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