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「俺ね、(人1)さんのことが好きだよ。」
「…………え、」
俺の言葉に、彼女は数秒の沈黙の後小さく零した。ぽかんとした顔から徐々に驚きに染まっていく表情に思わず笑ってしまう。あぁ、そう、それ。そういう分かりやすくて素直なところが好きだった。
大きく見開かれた彼女の目と視線を合わせれば、その顔は少しずつ驚きから困惑に変わっていった。困るよね、分かった上で言ってる。
「高1の頃からずっと好きだったんだ。光来くんが(人1)さんのこと好きだって聞いて諦めようとしたけど……やっぱり駄目だった。」
「ちょ、待って待って、昼神くん、」
整理しきれないみたいで慌てている(人1)さん。意地悪なことをしている自覚はあるけど、最後だから許してよ。
「もし(人1)さんがまだ誰のことも好きじゃないなら……俺にだってチャンスはあるよね?」
にこりと笑顔を貼り付けて彼女に尋ねる。引きつってはいないだろうか、苦い感情は見えていないだろうか。
(人1)さんは眉を寄せ、口を固く結んでいる。今にも泣き出してしまいそうな表情に少し辛くなった。瞳が潤んでいくのが見ていられないから俺は視線を正面に戻す。数秒の沈黙の後、彼女は口を開いた。
「ありがとう……ありがとう、昼神くん。でも、ごめんなさ、」
「はいストップ!」
ごめんなさい、その言葉が言い終わるより先にストップをかける。突然さっきまでの緊張感のある雰囲気が無くなって(人1)さんは目を丸くした。きょとんとした顔の彼女に目を細めて笑いかける。
「今、誰の顔が浮かんだ?」
俺の問いかけに、彼女は目を大きく見開いた。思い起こすように視線を泳がせて、戸惑ったようにしきりに瞬きをして……何かに気づくように、瞳を揺らした。
思いあたる人がいたんだね。……それならよかった。
「今思い浮かんだその人が、(人1)さんの好きな人だよ。思い違いなんかじゃない。」
「私……、」
ありがとう、大好きだった人。おめでとう、大好きな人達。
「光来くんのことが…………好き。」
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ましゅ(プロフ) - さいっこうに最高なお話でした。2人のよさも可愛さもギュッと詰まってて、光来くん〜〜〜〜!!!って悶えました、天才です……幸郎も解釈が一致すぎて……ギュンギュンしました、最幸のお話をありがとうございます!! (2021年4月30日 3時) (レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - お誕生日!!!最高です!ありがとうございます!! (2021年4月17日 9時) (レス) id: 299227e86e (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» 楽しみにしてますね!ゆっくりで良いのでこれからも頑張ってください! (2020年5月8日 8時) (レス) id: 2b0a425061 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - あおりんごさん» 1番だなんて勿体無いお言葉です…!嬉しすぎます…!コメントありがとうございます、とても自身と励みになります…。楽しんでいただける作品を提供できて幸せです、!コメント並びにご愛読いただきありがとうございました。これからも頑張ります〜! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 紫音さん» レス遅れちゃってすみません…!ずっと応援していただいてありがとうございましたぁぁ…!紫音さんのお声に本当に励まされました(*´`)絶対また作ろうと思っているので、その時はまたぜひお付き合いください、!本当にありがとうございました…!! (2020年5月8日 1時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年3月30日 23時