四振目「いざ、本丸内へ」 ページ6
話終わると、こんのすけは審神者様…と呟いてその目に涙を貯めていた
鶴丸は…ただ一言、そうか、と呟いた。
あぁ、やっぱり怒ってるんだ、そりゃそうだよね、刀剣の付喪神なのに、刀を私の不注意で折ってしまったなんて、怒らないわけが無い。
鶴「…なぁ、その短刀の破片、少し貸してくれないか?」
少し間を空けて鶴丸が問いかけてくる
てっきり斬られると思っていたから、少し固まってしまったけれど、どうぞ、と鶴丸に短刀の破片を入れた小袋を手渡す。
鶴丸はじっと小袋の中にある破片を見つめる
暫く見つめると、やっぱり、と呟いた。
鶴「君の話を聞く限り、どうやらこの短刀にも俺達と似たような存在が宿っていたと見える、もし君がそれほどまでに刀を愛して、この短刀を愛して、折れて尚今もこうして大切にしているのなら、と思ってな」
鶴丸は一拍置いて言った。
鶴「まだこの短刀は生きている、かなり弱々しくはあるが破片一つ一つに神力が流れている、間違いなく、君の為に生き長らえている」
その言葉を聞いて、私はただ呆然とするしか無かった、生きている?こんなにも跡形も無く砕かれてしまった刀が…?…こんなにも腑甲斐無い、私の為に……?
鶴「とはいえ…これだけ酷いともうそう長くは持たんだろうな…」
鶴丸は顔を顰めてちらりと目線を後ろの門に向けると、はぁ、と小さくため息を零す
鶴「…本当ならこんな所には君を入れたくは無いんだがな…だが君はこの短刀を救えるなら救いたいだろ?」
鶴丸の問いに私は間髪入れず頷く
鶴「…仕方無い、まぁ、戦闘は避けられんだろうが…俺が鍛刀部屋まで君を守ろう」
貴「っ!?で、でもそれだと、鶴丸や…他の刀達は…!!」
鶴「心配無い、動ける奴らはそう簡単に折れる程柔じゃない、それに俺が相手である以上はあっちも本気では斬りかかれないだろうからな、折れる事は無いさ」
そうは言うが、不安で仕方がない、もう目の前で刀が折れる所を見たくない…でも、私は…助けてあげられるなら…私のせいで折れたこの短刀を…もう一度…助けてあげたい…
貴「…わかり、ました、じゃあ、鶴丸…鍛刀部屋まで、案内を、お願いします…」
鶴丸は頷いて門の扉を押し開けた…途端だった、金属と金属の交わり合う音、目の前にいた鶴丸はいつの間にか抜刀していて、抜かれた刃は門の中から飛び出す刀を防いでいた。
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作者名:蝉時雨 | 作成日時:2019年9月15日 15時