15.隠し事は完璧に ページ17
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「おねーちゃん!!朝だよー!」
「ぐほッ!!」
突如として、腹部に走る鈍い痛み。
うとうととしていた意識は一気に覚醒して、薄く目を開いた。
「…リクオ…、急に乗るのはやめてくれ…。心臓に悪い…」
「だって、お姉ちゃん起きないんだもん!」
「それは悪いと思うけど…せめて叩いて起こしてくれ…」
「わかった!!じゃあ、明日から叩いて起こすね!」
…何か違うような気もするけど…
まぁ、いいか…。
腹部に乗っているリクオの頭をぽんぽんと撫でて、横に下ろした。
くわぁ…と欠伸を落としながら、立ち上がり伸びをした。
「んー…!」
「お姉ちゃん!抱っこー!」
「はいはい。」
手を伸ばして抱っこをせがむリクオを抱き上げる。
成長したと言っても、まだ二歳。
私でも余裕で持ち上げられる。
「うわ〜!高ーい!!」
「リクオはちっさいからな〜」
「皆が大きすぎるんだよー!」
「くくっ。そうか。」
無邪気な笑みを浮かべてはしゃぐリクオ。
寝起きが悪い私でも、この笑顔を見たら癒される…。
それを知か知らずか、私を起こすのはもっぱらリクオの役目となった。
まぁ、毎朝腹の上に飛び乗って来るのは勘弁して欲しいんだけど…。
流石の私でも、鳩尾は痛いんだよ…。
「お母さーん!お姉ちゃん起こして来たよ!」
「おはよう、若菜さん」
「おはよう、鯉千ちゃん。リクオもお疲れ様」
ニコッと笑う若菜さんから朝ごはんを受け取って、隣の部屋に行く。
お膳をおいてから、リクオを降ろす。
「んじゃ、いただきまーす。」
「いただきまーす!」
私の隣に座ったリクオは、おにぎりにかぶりつく。
私も、箸を取った。
「「んー!美味しーい!」」
2人の声がハモって、隣からクスクスと、若菜さんの笑い声が聞こえた。
最近思うんだが、リクオが私に似てきているような気がする…
まぁ、四六時中一緒にいるから可笑しくはないんだけど…
このまま成長したら、鯉伴、私、リクオと問題児が三人に増えるわけだ。
首無が大変そうだな〜…なんて考えたりする。
…それはそれで、面白いかもしれないけどね。
「くくっ」
「お姉ちゃん?」
やつれた顔でフラフラになっている首無を思い浮かべると、笑みが漏れた。
本人に知られたら怒鳴られそうだけど。
バレなきゃ良いわけだから。
「リクオー、隠し事は完璧にするんだぞ?」
「はーい!」
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楸ヒナタ(プロフ) - 李桜さん» 面白いなんて…!ありがとうございます!嬉しい限りです!!これからもよろしくお願いします! (2016年2月1日 17時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
李桜 - 小説面白いッス!私も文才あったらなァ〜 (2016年2月1日 0時) (レス) id: 888568db42 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ゆーなさん» ミツカッタ…。行動が早いっすね。 (2015年9月14日 21時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな - ミツケタ...... 。 これかな?これだよね? (2015年9月14日 21時) (レス) id: be54fb8e5e (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 飛鳥さん» うわぁ!そんな事言ってもらえるなんて…凄い嬉しいです!!コメント、ありがとうございます!! (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楸 ヒナタ | 作成日時:2015年6月14日 17時