第三話 ページ5
「…お前の名はなんという?」
(――――――――来たっ…!)
絶対に訊ねられる、名前。
『大和守安定』だなんて答えたら、間違いなく打ち首だ。ここは仕方がない。偽名を使おう。
「……僕の、名前は……」
――――――――――――――A。
そんないい加減な名前が、ぱっと頭に浮かんだ。
「僕の名前は、
…………と、…とみた……
――――― 富田 A といいます。」
『富田』。
この二文字は僕を作った刀工の本名。
…うん、これでいい。でまかせとはいえ、いい名だと思った。
でも、なんとなく嫌悪感を感じた。
本当は偽名なんて使いたくない。
僕のすぐ近くにいる元主に
「君の刀だよ。いつも格好よく使ってくれてありがとう。」
そう言って抱きつきたい。
『安定』、『安定くん』、『大和守』……どんな形でもいいから、名前を呼んでもらいたい。
「…それがお前の名か。」
はっとなった。
そうだ、今は妄想に現をぬかしている場合じゃない。
僕は今、殺されるか否かの尋問の真っ最中なのだ。
「はい。」
「…なるほど、じゃあ最後の質問だ。」
そう言うと、土方さんは井上源三郎さんに合図をしてあるものを持ってこさせた。
ごとり。
無機質な音を立てて目の前に置かれたそれを見て、僕は体中から血の気が引いていくのがわかった。
「……これはどういうことだ。」
――――――――大和守安定。……僕の本体。
“絶体絶命”
この言葉が、今まさにぴったりだと思った。
「なぜお前が沖田と全く同じ刀を持っている。 刃文に地鉄、刀身の長さからそりの形、さらには柄の色形まで一緒だ。
…お前の答え次第で、お前の処分が決まる。」
その一言で、僕はひゅっと息をのむ。
「…はい。あの…」
「まさか、またお前の父親が、なんて言ったりしねぇよな?」
…だめだ。どうしよう。もう、嘘の親が、とは言えない。…どうすれば。
「……それは、まだ僕が江戸にいた頃、刀剣商で買ったものです。
…おそらく、沖田さんの持っている刀の偽物…、贋作だと思われます。きっとそっくりに作られたのでしょう。」
贋作、だなんて。近藤さんの刀が聞いたらどんな顔をするだろうか。
(…ごめんね、長曽根さん。)
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千代@安定くん愛してる(プロフ) - Knightsの一鶴さん» 占いツクールに「夢主なしはダメ」なんて決まりあったんですか?きいたことないけど… (2017年8月15日 21時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
Knightsの一鶴(プロフ) - 夢主いないなら占いツクールに出すな。pixiv行け (2017年7月21日 22時) (レス) id: ebefdf627c (このIDを非表示/違反報告)
千代@安定くん愛してる(プロフ) - 楓花さん» ありがとうございます!忙しくて更新が遅くなってしまって本当にすみません!こんな素人の作品にコメントありがとうございます! (2017年7月9日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - 更新を待っていました、これからも頑張ってください (2017年6月19日 21時) (レス) id: fbbb4f8b94 (このIDを非表示/違反報告)
ほたか@ヨハネと堕天したい(プロフ) - 帰蝶さん» 返信遅くなってすみません!!また今日から更新再開するので、がんばります!!ありがとうございました!!^〇^ (2017年3月18日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:果汁入りラムネミックス | 作者ホームページ:
作成日時:2016年5月11日 21時