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第二十三話 ページ26

僕が京の町へ飛び出してから、一体どれぐらい経っただろう。外はすでに真っ暗だった。



僕は薄着で、夜はやっぱり寒い。はあ、と息を吐くと白い靄がでた。





手足がかじかんで痛い。お腹が減って、もう涙も出なくなった。







「もう…嫌だよ…。本丸に帰りたい…皆に会いたい…。」







そう小さくつぶやくが、誰も僕を助けてはくれない。人通りも少なくなって、本格的に夜になったようだ。真っ暗闇の中、羅刹に襲われた日のことを思い出した。


寒い寒い冬の中、僕は孤独に逃げていたのだ。今思うと、僕はなんて幸運だったんだ、と自分の運に感謝する。








そんなことを考えて寂しくうずくまっていいたところ、僕にひとつの影がかかった。









「―――――あなた…こんなところで何してるの?大丈夫?」









千鶴さんと同じような、若い女の人の声だった。僕が声の主を確かめようと見上げると、









「…千姫、さん?」








千鶴さんがいつも「お千ちゃん」と呼んでいる、あの鬼のお姫様だった。







彼女は僕が名前を知っていたことに驚いたのか、きょとん、と首を傾げていた。









「…見ない顔ね。どこから来たの?お家は?」




「え…っ…あの、え…と。」







この状況をどう話そうかとつい慌ててしまう。


僕があまりにも動揺しているからなのか、僕の答えを待たずに千姫さんはくすりと笑った。







「どうやらお困りのようね。…まあおいでなさいな。詳しい事情なら後で聞くわ。こんなところにいたんじゃ お腹もすいたでしょう?今夜は冷えるし、私の家にいらっしゃい。」








そう言って行く当てのない僕を、快く家へ招いてくれた彼女は、そのときの僕には神様のように見えた。

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千代@安定くん愛してる(プロフ) - Knightsの一鶴さん» 占いツクールに「夢主なしはダメ」なんて決まりあったんですか?きいたことないけど… (2017年8月15日 21時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
Knightsの一鶴(プロフ) - 夢主いないなら占いツクールに出すな。pixiv行け (2017年7月21日 22時) (レス) id: ebefdf627c (このIDを非表示/違反報告)
千代@安定くん愛してる(プロフ) - 楓花さん» ありがとうございます!忙しくて更新が遅くなってしまって本当にすみません!こんな素人の作品にコメントありがとうございます! (2017年7月9日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - 更新を待っていました、これからも頑張ってください (2017年6月19日 21時) (レス) id: fbbb4f8b94 (このIDを非表示/違反報告)
ほたか@ヨハネと堕天したい(プロフ) - 帰蝶さん» 返信遅くなってすみません!!また今日から更新再開するので、がんばります!!ありがとうございました!!^〇^ (2017年3月18日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:果汁入りラムネミックス | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年5月11日 21時

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