【刀剣乱舞】 もう逢えない物語 【薄桜鬼】

第二十話 ページ22

僕は思い切って、訊ねてみることにした。



本当なら聞いてはいけない、…あのことを。








その時の僕はどうしても知りたくて。









「あ…の、沖田さん…。」









「なに？」




訊くだけ無駄なのに、言葉が勝手に出てくる。


まるで何かに取りつかれたかのように。

少し不安な気になりながらも、僕は決心する。『訊こう』と。









僕は大きく息を吸って口を開いた。









「――――加州清光…って、どうなりました？」









――――――僕は沖田くんの答えを聞くのが、今更ながら怖くなった。









「…加州…って、ああ、あの刀。


そんなの、――――――――――折れたんだから捨てたに決まってるじゃない。」









――――ドクリッ…――――――









……聞いた瞬間、体中が脈打った。






キイッ…っと耳鳴りがした気がした。



喉がからからに乾いて、息が詰まったように苦しくなった。声が出ない。瞬きができない。空気が吸えない。







(うそ、なんで。沖田…くん。……捨てた、の？あいつを、清光を？

人一倍寂しがり屋で、天邪鬼な、あの刀を…)







まるで目の前が真っ暗になったようだった。









沖田くんが、何の悪気もないように
言ってのけたのが怖かった。









あいつはただの刀じゃない。付喪神が宿った、沖田総司の刀なのに。







(あいつは、僕のあいぼう、で、)









やっぱり、聞かなければよかったと後悔した。

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