検索窓
今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:153,254 hit

Prologue ページ2

「…っ……はぁ……はぁ…ぁ……っ…!」









―――――自分の後ろに、自分以外の足音が追いかけてくるのがわかった。









僕を追いかけるものの正体は、真っ赤な血走った眼と、旋毛から毛先まで白く染まった人間…、…いや、化物。…………羅刹である。









凍りつくような寒さと、夜の真っ暗闇の中を、僕はそれからひたすら逃げまとっていた。









戦況は最悪だった。身体は中傷、刀装は無くなり、一人だけ部隊とはぐれた。









(いやだ…怖い、怖い…っ!!)









「ひ…ひひ…ッ!!」

「血ヲ……血ヲヨコセェ…っ!!」






刀を振り上げて、羅刹たちは僕に襲い掛かってくる。

この時の僕では、避けることで精いっぱいだ。



激しく動くせいで、身体中にある傷が開いていく。痛くて怖くて辛い。








「ッ!!あ…っ!!」





激痛と麻痺に足をとられ、僕は不覚にもつまずいてしまった。




新選組の羽織に、返り血ではなく、自身の傷の血が滲む。





ゆらり、…無数の影が揺れ動いた。









「や…やめ……待っ…て…。」









そんな、蚊の鳴くような僕の声がこいつらに聞こえるはずもなく、





「血…血……血ヲオオオオォォォォ!!!!」






目の前の“失敗作”は、容赦なく僕に斬りかかってきた。









(…そんな…待ってよ……僕、は…まだ………)









――――――― 僕はまだ、折れるわけにはいかないのに ―――――…








激痛と恐怖で、目の前が暗く朦朧する。瞼が重くなった。



もう駄目だ、…そう諦めかけた、



そのとき、









「……ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァッッッ!!!」






ザシュッ…という人斬るような音、そして叫び声とともに、僕の羽織に 今度は返り血が血しぶきと共にへばり付いた。









(……だれ…?)






もう顔を上げる気力すらなかった僕は、彼らを斬った人物を確かめることさえできなかった。









「…あーあ……きったない。…せっかく手入れしたばっかだっていうのに。」







(おき…た…くん……?)







朦朧とする意識の中、あの懐かしい幻聴が聞こえた気がした。









―――――――そうだ、きっと僕は夢をみているんだ。 僕は折れたんだ。





最期に君の声が聞けたなら、これほど嬉しいことはない。




僕は、意識を手放した。

第一話→←◇ 注意


ラッキーアイテム

革ベルト


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (143 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
276人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

千代@安定くん愛してる(プロフ) - Knightsの一鶴さん» 占いツクールに「夢主なしはダメ」なんて決まりあったんですか?きいたことないけど… (2017年8月15日 21時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
Knightsの一鶴(プロフ) - 夢主いないなら占いツクールに出すな。pixiv行け (2017年7月21日 22時) (レス) id: ebefdf627c (このIDを非表示/違反報告)
千代@安定くん愛してる(プロフ) - 楓花さん» ありがとうございます!忙しくて更新が遅くなってしまって本当にすみません!こんな素人の作品にコメントありがとうございます! (2017年7月9日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - 更新を待っていました、これからも頑張ってください (2017年6月19日 21時) (レス) id: fbbb4f8b94 (このIDを非表示/違反報告)
ほたか@ヨハネと堕天したい(プロフ) - 帰蝶さん» 返信遅くなってすみません!!また今日から更新再開するので、がんばります!!ありがとうございました!!^〇^ (2017年3月18日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:果汁入りラムネミックス | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年5月11日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。