Prologue ページ2
「…っ……はぁ……はぁ…ぁ……っ…!」
―――――自分の後ろに、自分以外の足音が追いかけてくるのがわかった。
僕を追いかけるものの正体は、真っ赤な血走った眼と、旋毛から毛先まで白く染まった人間…、…いや、化物。…………羅刹である。
凍りつくような寒さと、夜の真っ暗闇の中を、僕はそれからひたすら逃げまとっていた。
戦況は最悪だった。身体は中傷、刀装は無くなり、一人だけ部隊とはぐれた。
(いやだ…怖い、怖い…っ!!)
「ひ…ひひ…ッ!!」
「血ヲ……血ヲヨコセェ…っ!!」
刀を振り上げて、羅刹たちは僕に襲い掛かってくる。
この時の僕では、避けることで精いっぱいだ。
激しく動くせいで、身体中にある傷が開いていく。痛くて怖くて辛い。
「ッ!!あ…っ!!」
激痛と麻痺に足をとられ、僕は不覚にもつまずいてしまった。
新選組の羽織に、返り血ではなく、自身の傷の血が滲む。
ゆらり、…無数の影が揺れ動いた。
「や…やめ……待っ…て…。」
そんな、蚊の鳴くような僕の声がこいつらに聞こえるはずもなく、
「血…血……血ヲオオオオォォォォ!!!!」
目の前の“失敗作”は、容赦なく僕に斬りかかってきた。
(…そんな…待ってよ……僕、は…まだ………)
――――――― 僕はまだ、折れるわけにはいかないのに ―――――…
激痛と恐怖で、目の前が暗く朦朧する。瞼が重くなった。
もう駄目だ、…そう諦めかけた、
そのとき、
「……ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァッッッ!!!」
ザシュッ…という人斬るような音、そして叫び声とともに、僕の羽織に 今度は返り血が血しぶきと共にへばり付いた。
(……だれ…?)
もう顔を上げる気力すらなかった僕は、彼らを斬った人物を確かめることさえできなかった。
「…あーあ……きったない。…せっかく手入れしたばっかだっていうのに。」
(おき…た…くん……?)
朦朧とする意識の中、あの懐かしい幻聴が聞こえた気がした。
―――――――そうだ、きっと僕は夢をみているんだ。 僕は折れたんだ。
最期に君の声が聞けたなら、これほど嬉しいことはない。
僕は、意識を手放した。
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千代@安定くん愛してる(プロフ) - Knightsの一鶴さん» 占いツクールに「夢主なしはダメ」なんて決まりあったんですか?きいたことないけど… (2017年8月15日 21時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
Knightsの一鶴(プロフ) - 夢主いないなら占いツクールに出すな。pixiv行け (2017年7月21日 22時) (レス) id: ebefdf627c (このIDを非表示/違反報告)
千代@安定くん愛してる(プロフ) - 楓花さん» ありがとうございます!忙しくて更新が遅くなってしまって本当にすみません!こんな素人の作品にコメントありがとうございます! (2017年7月9日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - 更新を待っていました、これからも頑張ってください (2017年6月19日 21時) (レス) id: fbbb4f8b94 (このIDを非表示/違反報告)
ほたか@ヨハネと堕天したい(プロフ) - 帰蝶さん» 返信遅くなってすみません!!また今日から更新再開するので、がんばります!!ありがとうございました!!^〇^ (2017年3月18日 22時) (レス) id: 8c6514bcbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:果汁入りラムネミックス | 作者ホームページ:
作成日時:2016年5月11日 21時