第四十四話 ページ49
？「久しぶりね。覚えてるかしら？」
あの時と変わらない笑顔で彼女は私に話しかけた。
でも、ひとつ違うのは・・・
貴「覚えてる。少し、痩せた？」
少しだけやつれた様に見えた。
？「ちょっと色々あってね。座って話しましょ。」
彼女は、自分の隣をトントンと叩く。
私は、特に抵抗する理由もないのでおとなしく座ることにした。
サァァァ――
真夏日だというのに日陰にいるせいか、涼しい風が頬をかすめた。
？「私の兄が死んだの。」
突然の言葉に少し驚いた。
？「跡継ぎとしてこれからだっていう時に誰かに殺されたわ。私たちは、人間に何もしていないわ。なのに、なんで・・・」
彼女の目の色が少しだけ変わった。
さっきから胸の奥がざわざわと蠢いている。
貴「誰が殺したのかわからないの？」
震える拳を握り締め、彼女にそっと問うた。
？「・・・わからない。今、みんなで探しているんだけど。」
貴「もし、見つけたら？」
駄目だ、そんなこと聞くな。
？「殺してやるわ・・・。」
そう言った彼女の目は完全に赤くなっていた。
心臓が凍りついたのを感じた。
早くここから逃げなきゃいけないのに、足が動かない。
足より手が先に動いて、刀を抜いていた。
自分の意志なのか、本能なのかわからない。
？「何してッ・・・」
気づいたら彼女を斬っていた。
それから何があったのかよく覚えていない。
彼女の付き人だと思われる奴に斬られ、逃げるようにして池田屋に転がり込んだ。
仕事も辞めた。
髪も伸ばし、服装も前より明るめにした。
私だとバレないように。
あの子が私を見つけないように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百目鬼(プロフ) - 沓名さん» ありがとう！ (2014年7月22日 22時) (
レス) id: ba2c7dd8f3 (このIDを非表示/違反報告)
沓名(プロフ) - 分かりやすくまとめてくれてありがと! 更新がゆっくりでも待ってるから大丈夫だよ(^^)/ 頑張ってね♪ (2014年6月9日 0時) (レス) id: 8dd220fc52 (このIDを非表示/違反報告)
百目鬼(プロフ) - 月夜桜さん» ありがとう☆ 学校に包帯巻いてドヤ顔で登校してきた君に言われるとは光栄だよ☆ (2014年6月8日 21時) (レス) id: ba2c7dd8f3 (このIDを非表示/違反報告)
百目鬼(プロフ) - 玲音さん» wwwだしょ？ 頑張るっす(｀・ω・´) (2014年6月8日 21時) (レス) id: ba2c7dd8f3 (このIDを非表示/違反報告)
月夜桜(プロフ) - 人のこと言えない中ニっぷりだね！(^ω^) (2014年6月8日 20時) (レス) id: be8b5973b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雷々 | 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2014年4月23日 0時
