検索窓
今日:6 hit、昨日:37 hit、合計:41,682 hit

episode11 ページ13

まさかのお誘いを受け、お昼を一緒に食べることになった。
アイドルとしてのではなく、同じキャンパスで学ぶ学生としてのなずなくんと。


「今更だけど名前なんていうんだ?」

それぞれランチをテーブルに持っていき、座ったところで尋ねられる。
名前はAだと教えると、「いい名前だなぁ」と微笑んでくれた。

「そうそう、おれたち同い年なんだしタメがいいな」

しかし私は恐縮した。

「いいんですか……?」
「もちろん!」

そして二人そろっていただきますをする。

私が頼んだのは、エビグラタン。
優しい味付けで、熱々なのに食べやすい。


「やっぱりAって泉ちんのファンなのか?」


ふとなずなくんに聞かれた。


「……うん。一番泉くんが好き」


あ、リアコではないよ!? と付け足す。
純粋に、ファンとして、大好きだ。

「泉ちんってやっぱり人気なのか〜、さすがだな」
「魅力が星の数よりある方なんで」

なぜか私が誇らしげにしてしまう。
なずなくんが明るく笑った。


「おれのことも応援してくれたっていいんだぞ〜」

なずなくんは最近活動を復帰したことで話題沸騰中のアイドル。
泉くんとは系統が違うけれど、顔立ちがきれいで明るく人懐っこい言動から人気を博している。


「……実は、仁兎くんの大学と仕事のどちらも真剣に取り組んでいるところは本当に尊敬してるし、見習いたいなって思ってる」

なんだか照れくさくてはにかむ。
まさか同じ大学だとは思っていなかったけれど、すごいな、私も頑張らないと、っていうのは前から感じていた。

バイトのために大学を休んだり、逆に授業についていくのがギリギリになってしまい慌ててシフトを削る――ということが多い私にとっての鑑だ。


「……! そう言ってもらえるとうれしいな」

きらっきらの笑顔で応えてくれるなずなくん。


「あの、泉くんのこと……聞いてもいい?」
「おれが答えられることならいいぞ〜」

ご飯を食べながら、泉くんについて質問をしてみることにした。


「仁兎くんからした泉くんって、どんな感じかなぁって」

「おれから見た泉ちんかぁ……」

少し困ったような表情をしたあと、


「黙ってればかっこいいな〜って」


"黙ってれば" かっこいい。

あの歌声もトークもファンサもすべてがかっこいい泉くんが。
まるで口を開けば残念なイケメンのような言い方だ。

「えっとどういう?」
「……知らないほうがいいと思う」

そう言って濁すなずなくん。

気になりすぎるのですが。

episode12→←episode10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (79 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
174人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

咲愛(プロフ) - ツキさん» コメントありがとうございます!始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです!続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします! (2023年2月22日 16時) (レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます!毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました!続き楽しみに待ってます! (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:咲愛 | 作成日時:2023年1月27日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。