episode７ ページ9
ああ、今ごろ泉くんたちは料理の感想をカメラに伝えていることであろう。
そして、その場に居合わせて質問などに対応するのがりんちゃんの役目だ。
いいなぁぁ、と事務室の机に突っ伏す私にオーナーが「ちょっと制服しわになっちゃうわよ」と注した。
「あ、すみません……！」
「そっかそっか、Aさんってせないず好きなんだったね」
「もう好き超えて愛です。最近モデル活動で海外いること多いから日本でアイドルしてるだけで感動なのにまさかの職場に現れるなんて誰が予想できるんですか」
一息で言い終わるとふと思う。
今日の私は、私服もネイルも、泉くんカラーで出勤している。
「えオーナー私オタバレしてませんよね大丈夫ですよね？？？」
向こうからしたら「自分のファンと仕事」という状況でかなり迷惑になってしまうだろう。
だとしたら私はしんでもしにきれない。
推しに迷惑をかけるなんて一番ありえないことだ。
朝のフラグをきれいに回収するんじゃないよほんと。
「んー大丈夫じゃない？ よくある色だしAさん冷静に対応できてたし」
「だといいんですけど……」
そんな会話をしているとりんちゃんが入ってきた。
「Aちゃーんチェキ撮るからそろそろ行くよ」
「え」
チェキ担当のメイドはほかの子だったはずだ。
首をかしげる私に、りんちゃんはにっこり微笑んだ。
「指名、入ったの。Aちゃんに」
一瞬、理解ができなかった。
──私が指名された？
「最後にチェキ撮るところまで撮影進んでるんだけど、せっかくメイド５人いてメンバーも５人だからペア５つ作って１枚ずつ撮って、最後に全体撮るほうがよくない？ って月永さんが提案して、」
確かに偶然にも５：５の男女比だ。
とはいえ"指名された"というのはどういうことだろうか。
「まず私を指名してくれたの。"一番元気だったからお前がいい！"って」
Knigthsの元リーダーから直々に指名されるりんちゃんの明るさというか元気というか。
本当に尊敬だ。
私が落ち込んでいるとき、いつも彼女に救われている。
「そしたら瀬名さんが"じゃあ俺は最初の子にしようかな"ってAちゃんのこと選んだの！」
「──泉くんが……！？」
何の冗談かと思うような内容だ。
耳を疑ってしまう。
泉くんが、私を指名。
そんな日がくるとは思いもしなかった。
「今すぐいく！！」
少し崩れた前髪を整え、スカートのしわも伸ばして私は事務室を飛び出した。
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咲愛(プロフ) - ﾂｷさん» コメントありがとうございます！始まった頃から読んでいただけているとは、大変うれしいです！続きは本日中に公開出来たらと思ってますので、ぜひぜひ今後ともよろしくお願いします！ (2023年2月22日 16時) (
レス) id: 8b89f62398 (このIDを非表示/違反報告)
ﾂｷ(プロフ) - この作品が始まった頃から楽しく読ませて頂いてます！毎日更新が楽しみで素敵な作品に出会えたなと思いました！続き楽しみに待ってます！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 56454ebf31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲愛 | 作成日時：2023年1月27日 12時
