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二十三話 ページ24

夜の帳が下り、月が辺りを照らす。
大阪城から近い少し高い場所にある崖にて、いまは亡き主 豊臣秀吉の治めていた大阪城を眺めていた三成は、背後に気配を感じて振り向いた。
そこに居たのは、琥珀の目をした女だった。
Aだ。


「…なんだ貴様は」
「銀髪…翡翠の目……ふーん…コレがやみいろ…」


顔をしかめた三成が警戒心を剥き出しに問いかけるも 聞こえないかのようにずかずかと 鼻と鼻が触れ合うか触れ合わないかくらいの至近距離まで三成の前に来たAは、じろじろとつま先から頭まで品定めでもするかのように顎に指を添えながら三成を見回した。
時折ふーん…だの弱そうだのと呟きながら三成を見る琥珀色の目は 好奇心で満ちていた。


「っ、離れろ貴様ぁ!」
「う、ぉ…!?」


耐えきれなくなった三成が抜刀し、得意の居合を放つが Aはそれをひょいと避けてみせる。
膝下あたりまである一つに結んだ髪が靡き、かすかだが血の匂いが三成の鼻についた。それが更に、三成の不信感を生んだ。


「貴様…家康の間者か…っ!?」
「はぁ?ばっかじゃねーの。かんじゃってのは布団で寝てる奴だろーが。」


予想とはかなりかけ離れた答えに思わず三成はぽかんとする。目の前でオレはいえやすなんかにキョーミねえし。と顔をしかめるAの言うことは本当のようだ。
不思議とそう確信した三成は、その刀身を鞘に収めた。
…というよりも「患者」ではなく「間者」なのだが…


「アンタ、きょうおうさんせい。だろ。」
「…他の者が私をどう呼ぶかなど知らん」
「ふーん…ま、なげぇからやみいろで良いか…」
「…女、用はなんだ」


くあ、と呑気に欠伸をするAに三成は鋭く睨む。




「や、特に用ない。」

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まゆ - 面白かったです^_^ヒロイン、強くて、かっこいいですね^_^市ちゃんとのやりとり、ほのぼのしていて癒されました^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月25日 22時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 雅姫さん» アーロです!殺戮シーンは狩有が担当しますが、やっぱエグいですよねぇ…。どこでそんなやり方を仕入れたのかが恐ろしくって聞けません(汗) 歪んだ二人だからこその異常なほのぼのが生まれるんです。いやぁ、BASARA4のお市可愛いなぁ(( (2016年8月31日 15時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
雅姫 - うわああ!主人公、殺し方が恐い!だけど、市とのやり取りにほのぼのしたのは何故だろう…? (2016年8月30日 21時) (レス) id: 471bbd1612 (このIDを非表示/違反報告)
狩有(稀にアーロ)(プロフ) - 百久一目さん» はい!これからも主人公の心の変化などに、乞うご期待です!(笑) (2016年6月26日 16時) (レス) id: fa9e2a923d (このIDを非表示/違反報告)
百久一目(プロフ) - わァい!!(呵呵大笑)では嬉々として怡怡として楽しみにしさせて戴きますね!!(感性がズれていて申し訳ありません) (2016年6月26日 15時) (レス) id: 421761368c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狩有&アーロ | 作成日時:2016年5月6日 1時

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