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89,伊之助への日記 ページ41

《嘴平君とは、あまり仲良く出来なくて『友達なんかいらねえ』って、突き放されちゃった》

《だけど…これから、少しずつでいいから
仲良くできたら良いな。だって…》



《こんなに広い世界で、
すごい確率で出会えた人だから。

奇跡に近いこの出会いを、
私は大切にしたい》



「……」

ぽと、と床に水滴が落ちる。

頬から落ちた雨が誰のかなんて
確認する暇もなく、流れてゆく

《嘴平君はね。
ちょっと変わった所があって…》

《でも、一緒にいて楽しいなって
勝手に思ってる》

《例えば、ご飯を食べる時…ちゃんと
命に感謝して食べてるなって感じるの。

『いただきます』って両手を合わせる姿が、
すごく綺麗で…なんて言えばいいんだろう》

《山育ちって言ってたから、命の重さとか…
ちゃんと分かってるのかなって。

私の考えすぎかもしれないけれどね》

《それに、食べる時は
人一倍美味しそうに食べる。

そう言う人がそばにいると、楽しいから。
いつまでも見ていられるの》

どうして、食事をする時に
皆で食べるのが美味しかったのか

伊之助はようやく理解した。
失ってから、ようやく気づいた。

誰かと何かを共有するする事は…
誰かと一緒に何かをやり遂げる事は

当たり前のようで
当たり前じゃない。

食事が美味しいと感じたのも、
達成感を持てたのも

これが楽しいという感情なのか、と
Aによって気づかされたのだ

《3人とも、とても良い人なんだよ。
記憶がなくて不安だったけれど

皆となら、大丈夫だって思う自分がいる》

《でも、足は引っ張らないように。
私も強くなって、皆と肩を並べて

歩いて行きたいな》

日記を読み終えた2人は
しばらく沈黙していた。

Aが残したものは
限りなく2人を追い詰める。

良い意味でも、悪い意味でも。

そして、最初に行動に出たのは
伊之助であった。

「伊之助?」

その場から立ち上がり、
一目散に部屋を出て行ったのである。

するとすぐに「いて!」と近くで声がして、
その声の主は

伊之助と入れ替わるような形で
炭治郎のいる部屋に入ってきた

「何なんだよあいつ〜、
人にぶつかっておいて謝りもしないとか」

黄色い頭に、雀を肩に乗せた善逸である

「あれ、どうしたの炭治ろ…
って、やだ何!?なんで泣いてんの!?」

異常を察知した善逸が、
悲鳴を上げて部屋の隅に寄る

「…善逸、これを」

「な、なに。何なの?…日記?」

善逸が号泣するまで、残り30秒…

90,猪突猛進であるために→←88,炭治郎、善逸への日記



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無希(プロフ) - 白夜さん» 作品をご閲覧して下さりありがとうございました!記憶というものがいかにかけがえのない存在なのかをお伝えしたかったので、悲しい・切ないと感じて下さり感無量です!今後も見守っていただけると幸いです!コメント下さり本当にありがとうございました! (2020年11月27日 6時) (レス) id: 41ba87352e (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 主人公が 記憶を 失うのは ちょっと悲しい(切ない?)けど、全部 思い出して ほしい…とても 素敵な作品 ですね (2020年11月22日 0時) (レス) id: 95ea5261ad (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - ところで、華恋は花咲く恋という意味でいれました。恋愛設定なら、この小説はゆりの恋だと思います。花言葉は幻かくです。記憶を失うからです。夢の中で記憶をみたりさまよう感じで。。 (2020年9月7日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - るいの様子を無惨様にみられていたとおもいます。だから、下弦のかいたいの時閻魔に名前をさがすように命令されたりするとおもいます。推測してしまいました。。 (2020年9月6日 12時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - 特に提案どうりにいきそうで嬉しいです。夢の中で、鬼の事を思い出したりしそうです。好きだから、無惨様殺しをするというのがよくあります。。難しいとはわかっているけれど、違う形がいいです。 (2020年9月5日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無希 | 作成日時:2020年6月28日 16時

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