午前零時の泉で花束を。 (ページ16)

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縮めたい、縮まらないページ16

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「お誕生日おめでとうございます…」

「めでたい感じが全くせんのぅ…」

零さんと付き合い始めてから2回目の誕生日
私はこの日が嫌いだ

もちろん、零さんが生まれてきたことには感謝し切れないくらいだけど…

また、貴方と私に差が出来てしまうから嫌いなの

「また、1歳差になっちゃった」

「ククっ…Aはそのまま若くて可愛らしい姿でいたいと思わんのかの？」

Aが我輩みたいにおじいちゃんになったら困るの…なんて言ってるけど
零さんは余裕があって、落ち着いてて、考え方も大人で
私なんかが横にいていいのかなって思ってしまうくらい素敵な人だ

だから、少しでも貴方に近付けるように
勉強も頑張ってオシャレだってたくさんしてるのに、やっぱり私は零さんと並ぶと子供で

もっと美人で大人の女性の方が、零さんにお似合いなんじゃないかと自信を無くす

「早く大人になりたい…」

零さんは私のこんな呟きを聞き逃していなかったようで

「ほう…今から大人の階段登ってみるかの？」

「えっ、いや…ちょっと！そういう意味じゃ、」

私の体は簡単に零さんの腕の中に引き寄せられ、怪しく紅く光る瞳に捕らわれてしまった

たったそれだけで、心臓は貴方に聞こえてしまうんじゃないかってほどうるさいし
顔は火照ってきっとリンゴのような色をしているだろう

あぁ、もう…
やっぱり私は零さんに叶わない

「なぁ、A。お前はずっと俺に付いてくればいい。一生を掛けて追いかけて来い」

ずるいよ、そうやって
ずっと貴方と離れされなくさせる
耳元でこんな事言われたら、私はただ頷くしか出来ない

「好きな女の前ではカッコつけたがるのが男心なんだよ」

本当は余裕なんてねえよ、と言った零さんの目は欲に溢れていて自分がこれからどうなってしまうのか、なんて想像も出来なかった

「かっこつけなくていいのに。全部、あげるから」

「全部、だなんて簡単に言ったらいかんぞ嬢ちゃん…」

「ほんとだよ？」

まだまだ子供な私だけど恋人がどんな事をするかって事くらい知っているし、零さんになら全てを捧げてもいいと思っている

大切にされるのは嬉しいけど、零さんの欲を動かすくらいの女になりたいよ

「どんな零さんだって、大好きだよ。だから私を貰って？」

「少し黙れ」

零さんからの余裕の無いキスが私の思考を真っ黒に支配していく

どうか、私を素敵な大人へと導いていってね

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