ブラック女の降臨 ページ13
永遠にさようならと言って去ったのに会うなんて最悪。声かけるなよ吉田。
「元気そうじゃん、今何やってるの？」
吉田くん、馴れ馴れしい。
信じられない。
一応私を辞めさせた原因なんだけど！
どっかいけ。
せめてその社外秘っぽいデータ仕舞え。
「OL……」
「キレイになってる」
「余裕できたからじゃない？当時は使えない同僚と上司と部下のせいで見た目に構う余裕なかったもの」
おおっと。
ブラックAが脊髄反射で出た。
「相変わらず」
「おかげさまで」
「Aさんが辞めてから大変だったんだよ、こっちは」
「あ、そう」
「何回も電話かけたのに、この電話は使われておりませんって言われてさ」
「辞めた人に何を聞くつもりだったのか知らないけどいい迷惑」
段々自分の目が座って来たのがわかる。
「Aさんデータ全部消しただろ」
「自分のものだけを消していっただけよ、社内の機密事項のデータ持ち出ししたと思われても面倒だし」
「Aさんの過去の会議の書類とかデータ全部無くなってた」
「印刷したものはあったでしょ」
「でもパワーポイントとかワードと連動させたデータそのまま欲しかったのに」
「まさか私が作った資料そのまま使おうとしてたの？馬鹿なの？」
「怖いな相変わらず」
おお。まずい。
口を噤む。
「あのあとしばらくパニックだった、課長は降格して飛ばされたし」
「吉田くんのせいだよね？」
「で、俺今、やっと係長」
「あー……私が苦労して就活して入社した会社なのに吉田くんが係長とか終わりだな」
「そんなことねーよ」
「あ、そ。せいぜい頑張ってください。人と待ち合わせしてるの、話しかけないで」
「なぁ。これ見てよ」
吉田くんがパソコンを見せてきた。
つい見てしまう。
「これ。どう思う？」
「……え、ちょっとこれ……業績私のいた頃の三割減……！」
営業利益を見て絶句。
「実はサクラグループに太いとこ持って行かれてさ……。お客様相談室に相談してみて対応の差で取引先変えたらしくて」
「……どこ？」
「西鉄丸尾商事」
「うわぁ大手……どんなクレーム？」
「エレベーター、階に止まるときに妙な音がするし、少しずれるんだけどどうしたらいいですかって」
それ知ってるわ、私処理したやつだわ。
「……末端まで危機管理の意志疎通ができてないと大変よね」
というだけにしておいた。
「はぁ……Aさんいたときは良かったな」
「ふーん」
「Aちゃん？」
背後から櫻井さんの声がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2805人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
