王子のお誘い ページ10
「……えー……」
「……彼氏はいますかいませんか」
櫻井さんがキュルキュルの瞳で私をじいっと見た。
「あの……」
「います？せん？どっち！」
「えっと」
「いま……？」
「……せん」
「せん！よし！」
櫻井さんがガッツポーズした。
なにこれ。
「櫻井さん、あの……私なんかに構うんです……？彼女、怒りますよ」
「誰の彼女？」
「櫻井さんの」
「俺に彼女はいま……」
「……ん？」
「いま……」
私を見下ろすクリクリの瞳。
清潔なドレスシャツと仕立てたのかサイズ感ぴったりのいい生地なのがひと目でわかるスーツ。
この手に持ってるカバンも時計も普通に見えるけどきっとン十万、ン百万するやつなんだろう。
無言で櫻井さんの言葉の続きを待ってたら、櫻井さんがいきなりハァー！とため息を吐いた。
「えー……そんな俺に興味ないの……？ノッてよ……いま……す！とかせん！とかで盛り上がろうよ」
悲しそうな顔をみて思わず吹き出した。
「彼女、いらっしゃるんですか？」
「実は今いません！」
何故かエッヘンと威張っていった。可愛い。
「じゃあ彼女立候補する方があとを絶たないでしょう？」
「彼女募集してませんから立候補者もお断りしております」
「へぇ」
会社に向かって歩き出したら櫻井さんがハッと息を吸い込んだ。
「だから！俺にちょっとは興味持てってば」
「あは、すみません」
「麻倉さんって誰とも上辺だけの付き合いしかしないんだよって聞いた」
誰に聞いたんだ。
唖然とした。
「職場に仲いい人いる？」
「……派遣ですから」
「派遣でもさ」
「……」
「前はどこで働いてたの？前の職場のお友達とかは？」
探るように聞いてくる櫻井さん。
「……」
「ねぇ、Aちゃんってば」
「あのー、櫻井さん何なんですか？私のこと放っておいてください」
「……」
あ、傷ついたような顔をした。
ズキン！ときた。
櫻井さんが悲しそうな顔でポツリと呟く。
「……お友達になりませんか」
「……そんな、無理ですよ」
「じゃあ今度の日曜に映画でもどうです？」
「いやいや、あの」
「なら今日の夜ご飯くらい付き合ってくれてもいいじゃん」
「……」
ご飯くらいならいいかな。
断る理由がない。
「ご飯なら……」
「やった！お酒飲める？」
櫻井さんが嬉しそうに笑う。
数年前の私なら浮かれてただろうけど。
『Aさんの今後のことを思って』とか言い出した吉田くんが脳をよぎって暗い気持ちになった。
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
