〇≠無の証明Ⅳ－１ (ページ43)

今日:31 hit、昨日:43 hit、合計:844,992 hit

２ページ43

「アイツはモブだね。顔が脇役」
二宮さんがさっさと切り離した。ひどい。

「こういう、神の使い、とか、鬼を飼うとかいうのはイケメン主人公って決まってるの！よくて悪役だけどやっぱラスボスの器が足りない」

鬼を飼う？
言葉に妙に引っかかった自分に気づく。

「もしも河東さんが……敵のラスボスだったら……どうなる？」
「悪霊を喰らって、その力を利用して自分の願望を……この世の支配とか破滅とか……のために悪の力を奮うんじゃない？」
「……」

「主人公だったら悪霊を鬼と呼んで、鬼を憑依させたりして人類の危機を救うんだよね、お姫様とかを救うのよ」
二宮さんが少し笑って言った。

「お姫様は櫻井さんよね」
「やめて！」
私の言葉に櫻井さんが吠えた。

「え？」

全く気づいていなかった二宮さんと大野さんが不思議そうにした。

「彼の恋愛対象は同性なのよ」
「あのおじさんが？」
二宮さんが目を丸くした。

「偏見の目で見ることはしないけど、櫻井さんと河東さんの目が合うだけで恋の声のほうがうるさくて何も聞こえなくなる」

「そうだよー！ピンクの影が見えてビックリしちゃったよ」
相葉さんがあはは！と笑った。

「笑い事じゃねー」
櫻井さんの困った声。

「なぁ、わかる？相手の気持ちが聞こえるってどんな気持ちかわかる？」

「わかんない」

二宮さんの無情な返事。

「巨乳の可愛い女の子が合コンに現れた気持ち想像してみろ！それが俺に向かって聞こえるんだって」

…………。

やったね！可愛い子！性格もいい子だといいな！って思うかなぁ？という相葉さんの素直な心の声が聞こえてきた。

目の前に現れなきゃよくわかんない、第一コンパって行ったことないかも、という二宮さんの心の声。

……うなじはどうだろう、とかかな？……という謎の大野さんの声が聞こえてきて、ハ？となる。

俺巨乳よりお尻派だけど翔さんはそういうこと言ってんじゃないよな、という松本さんの声が聞こえてきて思わず横顔を見た。
キレイな横顔でなんてことを。

「なんだよ、そうじゃねーよ……」
櫻井さんが消え入りそうな声でがっくりした。

「という理由で櫻井さんは今回役に立たない、使えない」
「オイ言い方気をつけろ！」
櫻井さんの機嫌が最悪。

「じゃあ河東さんが車の中で何を思ってたか聞いてたの？あの人黒だよ！一緒に聞いててほしかったのに！」
私の声に皆が目を上げた。