ございます ページ46
二宮くんが苦笑いした。
「賭けに負けた。勝てると思ってたから正直嘘でしょって思ったし……。何より、Aを騙してたこと、傷つけたんだなぁって」
「勝手に勘違いしてたのは私のせいだもん」
「それでもさ、勘違いしてることに気づいてたのに……わざと訂正せずに遊んでたんだから。やっぱ傷つけたことには変わりないよ」
「……」
「ごめん」
二宮くんが、真顔でそう言った。
「私こそごめんなさい」
「……謝ろうと思ったけど……俺も木下と一緒だから……男嫌いに拍車かけただろうなーって。もう話しかけられたくもないかな、とか……そしたらA、男嫌い治ってんじゃん……」
「……」
「なにそれ？ショック療法？意味分かんない。困惑より先に、すっげムカついた、Aは俺のなのに！みたいな」
「……ずっと不機嫌だった……のは……」
「そう！男嫌い治ったお前なんて隙だらけ！狼の群れの真ん中ですやすや眠ってる子羊！」
「え！」
「逆に、ねえこれ食っていいの？って他の狼が困惑して俺に聞いてくんだって！ダメだよ！それ俺の！って……あ、すみませんここで」
二宮くんがタクシーの運転手さんに声をかけた。コンビニの前。
お金を払っておりて、二宮くんがコンビニに入ってカゴを手にした。
「パンツ買うんでしょ？歯ブラシもね」
「わ！化粧品セットある！」
「好きなの買って置いてけば？」
「いいの？」
「いいに決まってるでしょ」
必要なものをカゴに入れてたら、二宮くんがお酒をガンガンかごに入れてる。
「……そんなに」
「ベッロベロに酔わないと眠れない可能性考えて余分に買っとくの」
「どういうこと？」
「わかんなくていいよ」
二宮くんが苦笑いした。
買い物を終えて、外に出る。
今日は珍しく、星が見えてる。
「星が見える……」
「あら珍し」
二宮くんが空を見上げて、ふふん、と笑う。
無言で並んで歩いていたら突然頭の中に流れてきたメロディ。
「きみにー……会いに行くよ……君に会いに行くよ……」
「わ！今ちょうど同じとこ心の中で歌ってた」
二宮くんがぶふ！って吹き出した。
「え、ほんと？」
「ふしぎだね、テレパシーかな？」
「二宮くんの声聴こえた気がしたの！」
「嘘でしょ」
二宮くんが、私の顔を笑顔で見つめてから手を繋いで、一緒に歌い始める。
「愛してます、好きにしてよー、君に会いに行くよ」
二人で歌いながら歩いていると、なんだか。
何年も前から一緒にいたような不思議な気持ちに包まれた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
