歳 ページ36
ほんとだ。
内容はわからないけど。
取引先の社長さんや営業の部長さんなんかがたくさん来てるこの会場でクレームがあったことバレないように処理を……どうやって？
「Aは風船お姉さん頑張んなさい」
「二宮くん！」
「ん？」
「話したいことが……あって……あの」
「俺もAと話したい……」
二宮くんがキラキラの目で私を見た。
もしかして、また仲良く話せる？
「ニノ！」
相葉くんが走ってきた。
「ん？」
「ニノ助けて！」
「何が？」
「もう無理だよ」
「何が！」
「俺らの接待出し物が！」
「ん？」
「斗真のチーム、ごっそりクレーム処理に行っちゃって！こっち回んないよ！」
「着ぐるみなんだから中身だれでもできるでしょ！」
「無理だって！澤部も行っちゃった！ニノ歌って！」
「やだよ！翔ちゃんは？」
「翔ちゃんはきみちゃんのかわりにライオンに入るの！踊れるもん！」
「……」
「ちなみに大野さんと松本さんも入ってもらうの！あの二人踊りすぐ覚えるから平気」
「はぁ？相葉さんは？」
「俺はキリンさんだもん!!!」
ふふふ。
思わず笑ったら相葉くんが私を見た。
「Aちゃん歌える？」
「踊れるけど歌えない！」
「どんな踊り？」
「バレエなら何でも……」
「じゃあ俺らの代わりに踊ってよ！」
「嫌よ！急には無理よ！それに衣装ないもん！」
「レオタードでいいじゃん！トゥシューズ持ってきてあげる！」
「なんで会社の人たちの前で肌やら足を晒さなきゃいけないのよ！」
「俺やるよ！」
二宮くんが言った。
「バレエってあれでしょ？パンツ見えるんでしょ！」
「タイツ履いてるけど……」
「キャミソールみたいな格好で足180度とかに開脚するんでしょ！」
「それはする」
「じゃあ嫌だ！ダメ！」
「……」
「なぁんでそのへんの芸術のゲの字もわかんねーようないやらしい目をしたオッサンどもにAの肌見せなきゃなんないの！ヤダよ！」
「ニノ……」
相葉くんが半笑いになった。
「俺が歌えばいいんでしょ！歌くらい覚えてるよ！社員旅行で歌ったの俺だもん！歌詞見てもいいならやるよ！」
「ありがとうニノー」
相葉くんが二宮くんに抱きついた。
「もー」
あ、耳が真っ赤になってる。
可愛い。
でもそんなことより。
「二宮くん……」
「今日一緒に帰ろ、話ある」
二宮くんがそう言って相葉くんとステージの裏手に走っていった。
ああ。
どうしよう。
期待してもいい？
胸がきゅうん、と苦しくなった。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
