で ページ16
「どうしたの？」
「そんな怯えなくていいよ、俺、女ともだちなんでしょ？」
「……」
「女ともだちと一緒にいるって思っときゃいいじゃん……まだ怖い？」
「……もう平気なんだけど……」
「ん？」
「……」
二宮くんが首を傾げながら、自分の耳にサイドの髪をすっとかけて、両手で頬杖ついて内股で綺麗な笑顔を見せた。
「相談乗ってくれるんでしょ？」
そうだ。
私にはその使命が！
「うん、聞くよ？」
「俺の、気になる人の話なんだけどね」
「うん」
「ヒントだけ並べるね、もし察しても、誰か言わないでね」
「わ、わかった！」
どきん、どきん。
「初めてあったのは、新入社員のとき」
「……うん」
「そいつは同期でさ、最初から妙に気になる存在だったんだよね」
頭の中に浮かぶ、同期の面々。
スーパーイケメン揃い。
「どんな風に？」
「俺にだけ態度違ったの」
最初の頃の相葉くんを思い出す。
二宮くん……？
ね、ニノって呼んでいい？とか聞いて、二宮くんにニノって最初に言い出したのは相葉くんだった。
どこかで会ったことある？とかすっごい二宮くんに絡んでた。確かにちょっとだけ違った気がする。
私と二宮くんの席が近かったからなんとなく覚えてる！
「あー、なるほど……」
「明るくて、いつもニコニコしてて、ちょっと天然ですぐ騙されそうなやつ」
「わかるわかる」
「わかるの？」
二宮くんが可笑しそうに笑った。
「今までもさ俺告白とかされて社内に彼女出来たりしたけど」
「いたの？」
「え。知らないの？」
「知らない！」
「はぁ？お前何？」
「え？え？え？」
「お前の後輩のユイ」
「……ユイちゃん！去年辞めたあの子？」
知らなかった。
「知らなかったんだ」
「いつからいつまで？」
「去年半年くらい」
「結構最近だし！辞めた原因まさか！」
「気づかなかったの？」
「気づかなかった！」
二宮くんが頭を抱えた。
「まぁそうだよね……翔ちゃんと芹香さんのお付き合いも知らないくらいだもんね……」
「そんな有名なの？」
「1階のエントランスで、俺と結婚したくないの？って翔ちゃんが芹香さんに叫んだ話は有名だと思ってた」
「知らなかった」
「知らなかったんだ」
二宮くんがとうとう、ぷくくって笑い出した。
「なに？」
「ねぇ、大丈夫？その大きなくりくりの目、ちゃんと開いてる？」
「開けてるつもりだけど……どうなってる？」
二宮くんがソファの背もたれにダラーンとなった。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
