め ページ15
ビールが来て乾杯して、おいしーね！って二宮くんに笑いかけたら、二宮くんが吹き出した。
「ん？」
「なんかAって」
「ん？」
「わらっちゃう」
「んんー？」
「見てるだけで楽しくなってくる、相葉くんみたい」
「えー！相葉くん？」
……はっ！
そうだ、その話しに来たんだ！
「して、二宮くん」
「なんだねAくん」
「……」
「ん？」
「料理、どうする？」
「んとね、メニュー、ほれ」
ああ、ダメだ。
なんか聞けない。
二宮くんが切り出すまで待とう。
二人でメニューを覗き込んで、これおいしそうね、お刺身は苦手？私もタコとイカとマグロしか食べない、とか話して。
楽しいなーって何気なく二宮くんを見たら、二宮くんが至近距離で私をじーっと見つめてて仰天する。
「ほら、メニューみて！ほら！」
焦ってそう言ったら、二宮くんが凄い妖艶な表情で、私を見たまま、囁いた。
「Aの好きなの頼んでいいよ」
……時が止まった。
周りはざわざわしてるのに、何にも聞こえなくなった。
綺麗な目。
悲しいみたいな、嬉しいみたいな、
……愛おしいものを見るみたいな。
「A？」
「……て」
「て？」
「てて店員さん呼ぶね!!すみませーん！」
がたん！
立ち上がったら足にテーブルが当たっていったー！ってなった。
「あ、馬鹿！」
「いたー」
「どこ打ったの！」
「太もも！」
「んもー！」
二宮くんが私の太ももをするんって撫でた。
ぞわっと、全身に電流が走った。
がたっ！
慌てて逃げる。
「あ、ごめん！痛かった？」
「うん、おっきい青あざできたら恥ずかしいね！子どもか！ってねー」
冷や汗がだらだら。
だらだら。
怖い、に凄く近いんだけど、
嫌悪感じゃなくて、
えっとえっと。
ジェットコースター的な。
ジェットコースター大好きなんだけど。
ジェットコースター大好きなんだけど、っていうキーワードに、頭を殴られたような感じになった。
「おまたせしましたー、ご注文お伺いします」
店員さんが来る。
「あ、大根サラダと焼き鳥盛り合わせとアスパラベーコンとフライドポテトと……チーズフォンデュ頼んでもいい？」
「いいよ」
「二宮くんは？」
「枝豆」
「とりあえずそれで！」
店員さんが去ったあと、二宮くんがため息を吐いた。なんだろう！がくーってなってる。
「おなかすいたね！」
妙にドキドキしてる胸を押さえて笑いかけたら、二宮くんがくふふ、と笑った。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
