プロローグ ページ1
『あの、松本先輩！』
『え？……A？どうした？』
『この手紙、読んでください』
中学の時、同じブラバンで、ひそかにずっとあこがれていた松本先輩。
同じ高校まで追いかけたけど、先輩はブラバンには入らず、バイトや趣味や、お友達との遊びで忙しそうにしてるのを、見るだけの日々が続く。
でも、先輩が高3の春、2年付き合ってた彼女と別れたときいた。
直接告白なんて無理無理！
でも、手紙なら。
『中学の時からずっとあこがれていました。
一度でいいからお茶してもらえませんか？
ご連絡待っています！』
そんな感じの手紙を書いて、メールとラインのアドレスを書いた。
夜のテンションの勢いで書いたけど、朝になって怖気づく。
でも。
今日渡さなきゃ、明日、彼女できてるかもしれないよ。
友達のメグちゃんにそう脅されて、渡さなきゃ絶対後悔すると思ったんだ。
どきんどきん。
下校時間になって、先輩の帰りを待つ。
松本先輩が、来た。
どきんどきんが、どくんどくん、に、変わって、
そのうち、どっどっどっど！って死ぬかもってくらい早く心臓が鳴った。
必死に呼び止めて松本先輩の笑顔にポーッとなりながら、読んでください、と手紙を渡した。
その時、後ろから声がした。
『潤くん、あのさ、今日の……あ』
松本先輩と仲良しグループのひとりの二宮先輩が来た。
目があった。
茶色い目。わんこみたい。
私と松本先輩を交互に見る。私に対する冷たい目はなに。
「何このひよこ饅頭」
初対面で罵られた。
ひよこ饅頭って悪口だよね？ね？
「ああ、この子？中学の時一緒でさ。ブラバンだったんだけど」
「……」
「Aっていうの、お前知ってる？」
「知ってる」
二宮先輩が私をじっと見おろす。
なんで知ってるのよ。
「で？なに告白されてんの？」
二宮先輩が手紙に目を落とした。
「あわわ」
「ふーん」
「手紙ありがとう。じゃあね」
そういって、ニカッと笑って、二宮先輩に、今日のシフトのことでしょ？とか言いながら、松本先輩が立ち去ろうとする。
こりゃ、だめだ、きっと。
がっくりうなだれてたら、二宮先輩が振り返って言った。
「あ、そだ、ひよこ饅頭！」
私のことだよね？
とりあえず返事をした。
「はい？」
「また後でね」
後で？
……この後、松本先輩に手紙を渡したことを、死ぬほど後悔することになるとも知らずに。
首を傾げてとりあえず、ハイ、と答えた。
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なるちゃん(プロフ) - うわーん！ 涙涙、、、 カズくんがお兄ちゃんでよかった！！ (2018年1月29日 10時) (
レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
こずえ(プロフ) - こんばんは。いつも読ませて頂いてます。年の近い兄ってこんな感じなのかなって想像しながら読んでます笑 冷たくしてしまうお兄ちゃん…素直じゃないですね〜 これからどうなるのか楽しみです！ (2016年5月13日 23時) (レス) id: bf5dbd1af4 (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - こんにちは♪お兄ちゃんたらっ///本当に素直じゃないんだからと、悶ております♪今度はいつ、甘やかしてくれるのかしらん♪ (2016年5月13日 14時) (レス) id: c20acea42a (このIDを非表示/違反報告)
梨沙(プロフ) - お兄ちゃんのバカ！でも好きで好きで死にそうです。今日はどんなウィンクで殺しに来るのかと♪(´ε｀ ) (2016年5月13日 13時) (レス) id: e385bf4ae4 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - 我のアホな行動、言動にズドーンと堕ちてた、けど、やっぱり読みたくなってしまう…(T＿T)ｼｭｰﾝ (2016年5月13日 13時) (レス) id: 76d9f58a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年4月22日 14時
