〇≠無の証明 Ⅰ (ページ24)

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「今ちょっと、グラスが勝手に動いたり……窓ガラスがびりびりといって」
私の言葉に、櫻井さんが目を見張る。

「智くんがいるのに？」
「……」
「何か変じゃない？松本くんは今回見えない。智くんは感じた。相葉くんは悪意で真っ暗になってる、俺はそういう意思は感じない、ニノは？」
「祓っても効果ない」
「……トータルして考えて、霊じゃないでしょこれ」
「……」

櫻井さんが、きっぱり、言った。

「あのさ、このアパート、なんでこんな住民少ないの？10世帯のうち、住んでるのって半分くらいでしょ？内、出張とか夜の仕事で留守がちなのが２軒」
櫻井さんが、眉を寄せる。

「……どうしてここに引っ越してきた？」
「サヨリ様の、風水で……引っ越したいといったら、ここなら安く紹介してあげられるとかで。会員様がここの管理人とかで」
「サヨリはなんでもやるんだな」
二宮さんがうんざりしたみたいに、言った。

「……聞いたけど、このアパートの出入り激しいみたいだよね」
「……はい……」
「……ちょっと調べる価値がありそうだ」

「翔くん、俺はじめて霊障見たかも」
大野さんが楽しそうに言う。

「だからそれだって。智くんが感じたってことは多分霊じゃない！」
「……」
「ぜってー！オカルト事件にしねーぞ！今回は！で！盗聴はどうだった？」
「読みどおり。二つ」

櫻井さんがコンセントの形をした盗聴器を見て、にんまり笑った。
「残念ながら、盗聴したからと言って取り締まる方法は我々にはない。第一犯人すら分からない。方瀬川は恐らく白。俺が言うんだから間違いない」

「分かったの？」
「うん。罪悪感で押しつぶされそうだったぞ、ほっといたら彼も自ら死を選びそうだったから」

犀東さんが、ガタン！と立ち上がった。
「大丈夫。見張りつけてる」
犀東さんが、ため息を吐いた。

「とりあえず、俺、どうしてもサヨリに会いに行かないといけないみたい」
二宮さんが、そういった。

「俺もそう思う、ひとつ引っかかってる」
「おれも」

「サヨリさんって何歳くらいの人なんですか？」
「……年齢、本名ともには伏せてある、杵嶋サヨリ、偽名だろこれ」

「あーあ、それダメなやつ」
二宮さんが、呟いた。

「おいニノ、女神ご光臨なさってる」
松本さんが首をすくめた。
「行かなきゃ。俺が本物だよって言わなきゃ」

「じゃあ俺は大野さんとこのアパートのこと調べるよ」
松本さんがそういった。