〇≠無の証明 Ⅰ (ページ12)

今日:8 hit、昨日:54 hit、合計:1,515,357 hit

2 ページ12

「どういうことですか」

「お前まさか」
……俺の心読んでない？
とか目で聞いてきた。

お前呼ばわり。
「あ、ごめん、東城サンでしたね！」

読まれた。何なのこの人。

……コイツうぜー、やりづらい。
櫻井さんの意思がドン、とぶつかってくる。

「……それはこっちの台詞です」

……俺の心を読むなよ！

……それはこっちの台詞です。

……気持ちわりー！

……だからそれはこっちの台詞です！

「こっちの台詞です以外に言えねーの？」

こんな感じ初めてだ。
なんでこんな意思が伝わるの。
何この人。

櫻井さんが眉間にシワを寄せて、ため息を吐いて、じゃあ、これは？って目だけで意思を伝えてきた。

……今から、呪われてると言ってる女性と会うことになってるが、できたら女性の捜査員も来てほしいと言われている。

……ああ、それで。私が呼ばれたの。

頷いたら、櫻井さんも頷いた。
目線がチラリと松本さんの方に向く。
……そう。松本と行ってくれるかな。

……わかりました。

目線が方瀬川の写真に落ちた。
……俺たちは方瀬川の方にあたるから。

「かしこまりました」

「恋人のフリで行ってね」

「なんのために」

「その方が都合良いそうで」

……わかりました。待ち合わせですか？はどこですか？

櫻井さんが松本さんを見た。

「では行きますか、松本さん」

黙って見ていた相葉さんと松本さんが、二人同時に「えええ！」って言った。

「やっぱりテレパシー？」

「使いようによっては便利だけど、ハッキリ言って超迷惑だよな！」

櫻井さんが、禍々しいものを見る目で、私を見てきた。

「それは」
「こっちの台詞、って言いたいんだろ！」

くるりと椅子を回して背を向ける。

……あ、意思が遮断された。

「……ん？」

目が合う。

やりづらい女が入ってきた、
でも使いようによっては、便利？
ん？まてよ？
えろいこと考えても伝わるのか？

「最低」

「げー！最悪！」

櫻井さんが叫んだ。

「でも俺は超能力とか信じねーからな！俺とお前が目を合わせるだけで意思が勝手に伝わったとしても！」
「もうこの人嫌なのでさっさと行きましょうか松本さん」

松本さんが私と櫻井さんを交互に見て、どういうこと？って呟いた。

二宮さんが私を見上げた。

……楽しくなりそう。歓迎するよ、俺はね。
いってらっしゃい。

「聞こえた？」
二宮さんが、ふふ、って笑った。