84、帰ってきちゃった(6/17) ページ14
気付いたら、私と和は、ふたりで鏡の前に、立っていた。
「え？……ええ？」
「ああ、帰ってきちゃった……」
和が、頭をぽりぽり、かいた。
「……みんなは？」
「おいてきたんじゃない？」
「やだ！」
慌てて準備室の扉を開いたら、みんながうたた寝してて、ホッとした。
「え？ちょっと和、なにこれ、こんないきなり戻るの？」
「……ああ、そうね、タイムマシンにでも乗るかと思ってた？」
和が周りを見渡して、肩をコキコキ鳴らした。
「みんなおきて」
……おきない。ぐっすり。
和が、パ、パ、パアンって、指を開放したアンプシュアで３音、トランペットを鳴らしたら、全員がビクウウ！って体を震わせて、おきる。
「……え？夢見てた？」
「え？あれ、ゆめ？」
「嘘だろ、かなりリアリティのある……」
「……おはよ」
皆が、お互いを探り合うような、顔をした。
「え……未来に行ったの、あれ……夢だった？」
相葉くんの言葉に、皆が戸惑ったように、目を合わせた。
「ああ、そっか。みんなガチで寝てたから混乱するよね、仕方ないよね」
和が、はあ、ってため息を吐く。
櫻井くんが、今何時だ？って携帯を見て、うわ！と叫んだ。
「……あ、ちょっと、携帯に連絡あったみたい、こんな親の一大事にぐっすり寝るなんて俺正気か？」
櫻井くんが、電話をかけなおしてる。
「……あれ……？なんだか……俺成功してる夢見たぞ」
「俺も」
松本くんと大野くんが、目を合わせてる。
「俺なんて超奇抜なデザイナーになってる夢みたよ、でもあの虹色のソール、かわいかったな」
なんだか、皆、夢だったのかなって感じになってて、
私も、そうなのかもしれない、ってちょっと思っていて。
それなら。
思いを伝え合ったのも、手を繋いで町を歩いたのも、和が私に、報われなくても愛してる人だって言ったことも、具合が悪くなった私にキスしようとした和も。
全部、私の願望で、夢だったのかなって思ったら。
なんだか。
「……夢……だった？」
「おきてたのに」
「でも、どこまでが……」
「……夢にしたかったなら、それでいいんじゃない？」
「……え？」
「お前の、好きなヤツって、誰？」
和が、苦笑いしながら、聞いてきた。
もしあれが、私の願望で、夢だったら。なんてことが一瞬頭をよぎる。
「……内緒」
「……あ、そ」
「和！ね、夢、じゃないよね？」
「さあね」
和が、はあ、ってため息を吐いた。
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やっち(プロフ) - おお。当たってました❗よしのさんの小説、色々違うお話を書かれてるので凄い尊敬します。もう感情移入して泣いてますよ。これからも色んなお話を楽しみにしています💕 (2021年10月4日 18時) (
レス) @page33 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - こんにちは。予想ですがカズは俳優になって主人公と結婚してると思います。絶対！ (2021年10月4日 16時) (レス) @page4 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ - 高校生の時この作品に出会って、心動かされて24歳になってふいに夢に似たようなシーンが出てきて読み返しました。何度読み返しても素敵な作品。もう一度こんな気持ちにさせてくれてありがとうございます。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 7bf8bcbcd4 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 大切な、前へ進むための力強いメッセージ。まさに、今のわたしに、また読み返してほしかったんです。将来、オトナになるとき、絶対また読んでほしいと当時おもっていました。消さないで置いていてください。そして改めてこんな面白くてステキな作品ありがとう (2020年2月19日 1時) (レス) id: 61dd42d003 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - キノキミ、No.1で好きな作品です。久しぶりに読み返せました、開放ありがとうございます(涙)そして二宮サン天才外科医役！(；▽；) (2020年2月19日 1時) (レス) id: 61dd42d003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年6月14日 8時
