Will you Marry me? 4th season (ページ27)

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Aの病室を後にしてスタジオに向かう移動車の中からボーっと外の景色を眺める

子どもが生まれると人生が変わるって色んな人に言われたけど、その実感はまだ湧いてこない

生まれて数時間しか経っていないからか、「人生変わったなぁ」とは思わない

信号で車が止まる

窓からは川沿いの歩道が見える

「あ、」

この道、結婚する前に一度だけAと来た事あるな、俺

滅多に外出しない根っからのインドア派の俺が珍しくAを外に連れ出した

結婚する前で昼間の明るい内からは連れて行ってやれなかったけど、何故か自分でも不思議なぐらい、

あの春はAにこの桜を見せてやりたかった

「綺麗だな」

『優しい色だね、どうしてピンク色じゃなくて桜色って表現するのか分かる気がするね』

桜を見ても月並みな言葉でしか表現できない俺、そんな不足している俺を補うように隣に立つA

この時のAの横顔を見て、「Aさえいれば、他には何もいらない」と強く思った

子どもが苦手な俺は特に自分の子どもが欲しいと思う事もなく、どこか人生に対して諦めているような節があった

それが世間からは冷めてると見られる事もあった

そんな俺がただ唯一、強く願った存在がAだった

Aと結婚して子どもが出来なかったとしたら、それはそれで構わないとすら思っていた

俺の隣にAがいてくれるなら、それだけで俺の人生は完璧なものになるから

例えるなら

俺の目に映る世界の全てのものが灰色だけど、たった一つAだけが色付いているような

今まで無色だったものが、隣にAがいるだけで鮮やかに色付いて見えるような

Aは俺の世界に色を与えてくれる唯一の存在

あの子も、そんな風に育って欲しい

誰かにとって唯一の存在になって欲しい

誰かの世界に色を与えられるような、凛と咲く、一輪の花のような女の子になってくれれば

深夜から降り続いていた雨は

いつの間にか止んで、虹が出て来そうな晴れ間が覗く

「ふっ

やっぱ、’雨’はないな」

マネージャー「そう言えば、お子さんの名前決まってるんですか？」

「そうだね～、どうしようかな～

♩たまには聞きたいな今日は私と君が名字を重ねた日

愛が芽吹いた日」