検索窓
今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:11,920 hit

+3話+ ページ3

「ころちゃん、大丈夫ですか?」




目線を合わせるためしゃがみ込んでそう聞く。



「...は、はい?一応」




あれ、なんで敬語...。






「るぅとくん!何してんの!?」



「わっ」





グイっと引っ張られた方を見れば、莉犬がころちゃんを睨んでいた。









「いつもなら、こんな役立たず見捨ててるでしょ!?」




莉犬、あんまりです。それは、


本人が傷ついていないか心配で、ころちゃんを見ると彼もまた莉犬を睨んでいた。






「ぼ、僕は!ただ、...怪我をしたジェル君の代わりになろうと思って!」



涙目でそう言ったころちゃんの言葉を莉犬は鼻で笑う。





「ころんにジェル君の代わり?何言ってんの。怪我したジェル君の方がよっぽど使えるけど」



「なっ、」





ころちゃんは、ぎゅっと下唇を噛んで俯く。









「ま、待ってください!莉犬...ころちゃんだって役に立つこともあるよ。だから、そんな言い方は酷、」




酷い。そう言おうとしてハッと顔を上げる。


莉犬が殺意のこもった瞳でこちらを見つめていたからだ。




「なに、...甘ったれたこと言ってるの。るぅとくんだってマフィアの厳しさは知ってるでしょ?ころんみたいな役立たずを助けてたら、こっちまで死ぬんだよ」




マフィア...。


そうか、やっぱりここはマフィア全盛期の世界。





「ころちゃんも何か言ってください」




そう言って振り返れば「ころ、ちゃん...?」と、僕の呼び方に違和感を持った顔をしている彼がいた。






あれ。今思ったけど、これ、序列ってどうなってるんだろう。




年齢順?

はたまた戦闘の強さ順?




恐らく、お互いため口で話している僕と莉犬はたぶん序列は同じくらい。


その莉犬がころちゃんを呼び捨てにしてるってことは、





きっと、ころちゃんは僕より下。ということだろう。





「るぅとくん、」





真剣な莉犬の声。



「どうしちゃったの」






僕がころちゃんを助けたことでこういう反応をされるってことは、きっと僕は今まで何度も見捨ててきたんだろう。


この世界の僕って、るぅと会長より非人情そうだもん。






取り敢えず、こういう時は無言。




「...はぁ。るぅとくんがこんなんじゃ、俺が怒られるんだけどな」




え、それはすみません...。




「車、表に呼ぶから行くよ」



「あっ、待ってころちゃ、ころんが」







そう言った僕に莉犬は呆れたため息をこぼして歩いて行った。



ごめんね、莉犬。

+4話+→←+2話+



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
38人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

わこ - いいえ!そんなことないです!とっても好きなお話なので、たくさん待ちます! (2021年8月3日 22時) (レス) id: 48ef6fa197 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 喜世さん» 頑張ります…!めちゃくちゃ亀更新ですみません…(>_<) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 50b0aef36e (このIDを非表示/違反報告)
喜世 - このお話ハマっちゃいました!更新がんばって〜! (2021年7月7日 21時) (レス) id: 48ef6fa197 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 星雨さん» ありがとうございます!マフィア系に最近ハマっておりまして...(*^^*) (2021年4月25日 15時) (レス) id: 50b0aef36e (このIDを非表示/違反報告)
星雨 - この世界観、めっちゃ好きです!! (2021年4月19日 16時) (レス) id: afebd09899 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひの | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年4月2日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。