+3話+ ページ3
「ころちゃん、大丈夫ですか?」
目線を合わせるためしゃがみ込んでそう聞く。
「...は、はい?一応」
あれ、なんで敬語...。
「るぅとくん!何してんの!?」
「わっ」
グイっと引っ張られた方を見れば、莉犬がころちゃんを睨んでいた。
「いつもなら、こんな役立たず見捨ててるでしょ!?」
莉犬、あんまりです。それは、
本人が傷ついていないか心配で、ころちゃんを見ると彼もまた莉犬を睨んでいた。
「ぼ、僕は!ただ、...怪我をしたジェル君の代わりになろうと思って!」
涙目でそう言ったころちゃんの言葉を莉犬は鼻で笑う。
「ころんにジェル君の代わり?何言ってんの。怪我したジェル君の方がよっぽど使えるけど」
「なっ、」
ころちゃんは、ぎゅっと下唇を噛んで俯く。
「ま、待ってください!莉犬...ころちゃんだって役に立つこともあるよ。だから、そんな言い方は酷、」
酷い。そう言おうとしてハッと顔を上げる。
莉犬が殺意のこもった瞳でこちらを見つめていたからだ。
「なに、...甘ったれたこと言ってるの。るぅとくんだってマフィアの厳しさは知ってるでしょ?ころんみたいな役立たずを助けてたら、こっちまで死ぬんだよ」
マフィア...。
そうか、やっぱりここはマフィア全盛期の世界。
「ころちゃんも何か言ってください」
そう言って振り返れば「ころ、ちゃん...?」と、僕の呼び方に違和感を持った顔をしている彼がいた。
あれ。今思ったけど、これ、序列ってどうなってるんだろう。
年齢順?
はたまた戦闘の強さ順?
恐らく、お互いため口で話している僕と莉犬はたぶん序列は同じくらい。
その莉犬がころちゃんを呼び捨てにしてるってことは、
きっと、ころちゃんは僕より下。ということだろう。
「るぅとくん、」
真剣な莉犬の声。
「どうしちゃったの」
僕がころちゃんを助けたことでこういう反応をされるってことは、きっと僕は今まで何度も見捨ててきたんだろう。
この世界の僕って、るぅと会長より非人情そうだもん。
取り敢えず、こういう時は無言。
「...はぁ。るぅとくんがこんなんじゃ、俺が怒られるんだけどな」
え、それはすみません...。
「車、表に呼ぶから行くよ」
「あっ、待ってころちゃ、ころんが」
そう言った僕に莉犬は呆れたため息をこぼして歩いて行った。
ごめんね、莉犬。
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わこ - いいえ!そんなことないです!とっても好きなお話なので、たくさん待ちます! (2021年8月3日 22時) (レス) id: 48ef6fa197 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 喜世さん» 頑張ります…!めちゃくちゃ亀更新ですみません…(>_<) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 50b0aef36e (このIDを非表示/違反報告)
喜世 - このお話ハマっちゃいました!更新がんばって〜! (2021年7月7日 21時) (レス) id: 48ef6fa197 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 星雨さん» ありがとうございます!マフィア系に最近ハマっておりまして...(*^^*) (2021年4月25日 15時) (レス) id: 50b0aef36e (このIDを非表示/違反報告)
星雨 - この世界観、めっちゃ好きです!! (2021年4月19日 16時) (レス) id: afebd09899 (このIDを非表示/違反報告)
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