虹空314 ページ34
[Noside]
その二人を……いや、グレイをシルバーはじっと見つめていた。その視線に気づいたグレイも驚きと困惑の表情をしていた。その時、休んでいたラクサスが雷を纏ってトラフザーへと突っ込んだ。
「あっ!テメッ!そいつは俺の獲物だぞ!」
「少し相手をしてやるだけだ!それよりカエデに!」
自分が対峙していた敵を奪われる形になったガジルは怒るがラクサスは取り合わずトラフザーと格闘戦をしながらガジルに告げる。
ラクサスの意を察したカエデが炎を大空へと切り替えて構えを取りながらガジルへ向き直る。
「ガジル!俺に向かって咆哮だ!!」
「あん?マジか……?」
「ラクサスも魔力はほんの僅かしか回復していない。急げ!!」
「よく分からねぇがご希望通り全力で撃ってやるよ!鉄竜の……咆哮!!」
「全力でとは言ってなくない!?」
「ガジルさんらしいですね…」
ルーシィのツッコミを無視したガジルの全力の咆哮がカエデの拳銃へ吸い込まれていく。ガジルが魔力で作り出した鉄も再び魔力へと戻ってカエデに吸収されていった。
そして小さかったカエデの炎が色鮮やかに燃え盛った。
「……よし!かなり回復出来た。すまないガジル」
「ちっ!オラァ!さっさと俺に代われ!!」
「言われなくても分かってるつの……そらよ!」
「ぐっ!!」
全力の咆哮を簡単に吸収されたガジルは舌打ちしつつもラクサスに吠える。力を振り絞ってラクサスはガジルに向かってトラフザーを蹴り飛ばした。ガジルは右腕を剣に変化させて待ち構える……
「鉄竜剣!!」
「フンッ!!」
魚人のようなトラフザーは腕にあるヒレでその斬撃を受け止め鍔迫り合いに持ち込まれる……ラクサスはカエデ達の場所まで戻ると膝をついて呼吸を整えている。
ヨミは傍によってラクサスやルーシィの傷を治癒能力を使って治す。
「グレイ様!!」
ジュビアの叫びに視線をそちらに向けるとシルバーがグレイに組み付いていた。
「コイツは俺が貰うぜ!」
「なっ!?」
シルバーの言葉と共にグレイはどこかへ転移していった。呆然とするジュビアの前にキースが立ち塞がる。
「グレイ様をどこへ連れて行ったの!?」
「グレイ……これもまた運命か……」
「!?」
意味深な言葉に反応するジュビアだがとにかくグレイの元へ行くためには目の前の敵を倒す事が先決だと思い直す。
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