うれしいこと ページ26
【桜井Aside】
*
「__やっぱり似合うわねぇ、綺麗よ。」
姿見に映った自分は、その綺麗な着物を纏っている。
…こんなに綺麗な着物を着るのは、いつぶりだろうか。お金になる着物はすべて売ってしまった。
『ありがとうございます。』
「…さ、着物姿、上司さんに見せてあげましょう。」
…なにか、店員さんはとても楽しそうに笑った。
「___上司さん、彼女着終わったわよ。」
少し緊張しながら、___どんな反応するかな、なんて考えながら、待たせていた隊長に、姿を見せた。
『どう、でしょうか。』
少し震えながら言ったが、
「………。」
何も言わぬまま、ずっとこちらを見つめられるだけで。
『…あの、』
「あら、ほんとに口下手なのね、あなたの上司さん。…それとも、見惚れちまったかい?」
すこし悪戯な笑みを浮かべた、店員さん。
『みほ…っ!?』
「…!!」
隊長ははっと我に返ったように驚き、なにか焦った様子になった。
…また、赤くなりかけたのを必死に抑えた。
「違うのかい?…でも、似合ってるだろ?」
「…。」
隊長は、ひとつ、頷いた。
『…え、本当ですか?』
「本当だろうさ、上司さん、さっき我を忘れて見つめたまま目を離せられなくなってたくらいだしねぇ。」
『…そ、そうなんですか?』
…抑えてたのが、一気に溢れ出したように、
「あら、赤くなっちゃって、色気はあるのに、初々しいところもあるのねぇ。」
また、店員さんは朗らかに笑った。
「その着物で決まりで良いかい?」
『…はい。』
「じゃあ、お会計先に済ませようか。」
隊長が、お会計にいった。
「あら、プレゼントかい?着物を贈るとは粋だねぇ。」
『…あ、プレゼントではなくて、今私お金がなくて、貸してもらおうと思っているんです。』
「そうなのかい?」
…と、隊長は私の肩に手を乗せ、ゆっくり、首を横に振った。
『…え。』
「上司さんはそんなつもりないみたいよ?」
『でも、そんなの悪いです。』
「…こういう時は、上司にプレゼントさせてあげなさい。…部下に良いところ見せたい時ってのもあるのよ。」
『そうなんですか?』
隊長は、頷いた。
『ありがとうございます、嬉しいです!』
__似合うと思ってくれた着物を、プレゼントしてくれる。…とても嬉しいことで、自然に口角が上がるのがわかった。
(…こんな素敵な着物、囮のためなんてもったいないなぁ。)
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やまなな(プロフ) - ゆるさん» 返信が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。御覧いただきありがとうございました!私も終兄さん好きなので、ご覧いただけて嬉しいです! (2021年3月4日 12時) (レス) id: 2a45d58c1c (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!個人的にも終兄さん好きなので嬉しいです! (2020年5月8日 9時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - 颯さん» まさか今も見てくださる方がいらっしゃるとは…!!こちらこそ、本当に有難いです!!応援ありがとうございます、励みになります。更新頑張ります!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2f769ce501 (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - ピエロさん» 大変返信が遅れてしまい、申し訳ありません!!ご覧いただき、ありがとうございます! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2f769ce501 (このIDを非表示/違反報告)
颯(プロフ) - 久しぶりの更新有り難きです!!凄く好きな作品なので応援しております!頑張ってください! (2020年3月16日 9時) (レス) id: 9993f1b014 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまなな | 作成日時:2019年1月5日 23時