あたたかい雰囲気に、甘える ページ22
【桜井Aside】
「…すまねェな、助かる。」
『いえいえ。お役に立てるよう、頑張ります。』
「ありがとうな。しっかり作戦練って、お前にはできるだけ被害のないように頑張るからよォ。」
『局長…、こちらこそ、ありがとうございます!』
局長_最初から、この人は私のことを随分気にかけてくれていたようだった。
…まだ出会ってからそんなに長くはないのだが、真選組の皆さんがこの人を尊敬し、ついていっている理由も、わかる気がする。
おおらかで、まっすぐで、あったかい。…私もまた、この人をこの先も尊敬し続けることであろう。
『…あ。』
「どうした?」
ここで一つ、思い出した。
『俺、袴一つしか持ってなくて。女物の着物とかを持っていないのですが、着物一着買うお金もまだ無くて。…どうしたら、良いでしょう。』
…そうだ、ただ一つの袴と刀と少しのお金と、自分の体だけでここに来てしまったものだから、男をおびき寄せるだけの容姿はないだろう。
「…あ、それなら。」
良いことでも思いついたように、沖田さんが口を開いた。
「終兄さんと二人で買いにいけば良いんじゃね?」
『…え、隊長と…!?でも、わざわざ悪いですし…。』
「終兄さんはどうなんでィ。」
「…。」
ちらりと、隊長を見てみた。
「俺には、終兄さんが迷惑そうにしているようには見えねェが。…第一、女として買いにいくなら、刀は終兄さんに持っておいてもらったほうが良いだろ。女が刀ぶら下げて歩くのは目立つだろィ。
…それに、なんか終兄さんと良いカンジみたいだし?」
ニヤリと口角を上げた沖田さん。
大方、最後のが一番の狙いだろう。笑顔が黒い。…沖田さんは、そういう人だと…誰かから聞いたことがある。
しかも、私は沖田さんと歳はあまり変わらないが年下で、さらに女ときた。絶好のいじる対象なのであろう。
「おぉ、良いじゃねぇか。A!終と着物でも買ってこい!」
『えぇ、でも…。』
なぜだか局長は嬉しそうに笑っている。…善意なだけに、断りにくい。
「まあ、終にゃこれくらい迷惑だとは思われねェよ。…行ってこい。」
副長もまた、言った。
_その、二人の言葉は、なんだか、とてもあたたかく感じ、…あの副長も、少しだけだが、口元がいつもより緩んでいるように感じた。
…この、あたたかな雰囲気に促されるように。
『_じゃあ、お願いします。』
少しだけ、隊長に、甘えることにした。
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やまなな(プロフ) - ゆるさん» 返信が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。御覧いただきありがとうございました!私も終兄さん好きなので、ご覧いただけて嬉しいです! (2021年3月4日 12時) (レス) id: 2a45d58c1c (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!個人的にも終兄さん好きなので嬉しいです! (2020年5月8日 9時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - 颯さん» まさか今も見てくださる方がいらっしゃるとは…!!こちらこそ、本当に有難いです!!応援ありがとうございます、励みになります。更新頑張ります!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2f769ce501 (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - ピエロさん» 大変返信が遅れてしまい、申し訳ありません!!ご覧いただき、ありがとうございます! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2f769ce501 (このIDを非表示/違反報告)
颯(プロフ) - 久しぶりの更新有り難きです!!凄く好きな作品なので応援しております!頑張ってください! (2020年3月16日 9時) (レス) id: 9993f1b014 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまなな | 作成日時:2019年1月5日 23時