オ ウ セ 4 ページ14
Aside
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…こんなに、神威の存在は、私にとって大きかったっけ。
神威と離れてから気づいた、存在の大きさ。
一緒に居なくなったことへの寂しさ。
なんでだろう。なんでわかんなかったんだろう。
__私、神威が好きだったんだ。
時々遠目に見る彼はどんどん変わっていく。その度に胸が苦しくて、鼓動が高まって。
燻りを消すことが出来ないまま、三年経って。
まだまだ私は神威が好きで、遅すぎたと何度思ったことか。
このまま高校を卒業して、もし神威がどこか別の場所にでも行っちゃったら、本当にもう、姿を見ることすらなくなってしまう。
完全に、希望を失ってしまう。
これが最後のチャンス、と決めて、久しぶりに神威に電話をかけた。
『もしもし…?ええと、久しぶり』
《久しぶり。どしたの?》
電話越しの神威の声は、前よりぐんと低くなっていた。
『きゅ、急でごめん。あのさ、今度の花火大会、よければ一緒に行かない?』
なんて言ってくるか、考える暇もなく返事が返ってきた。
《あ、いいよ》
『…ほんと!?』
あっさりもらえた良い返事に、思わず声が大きくなる。
待ち合わせ場所や時間を決めつつ、決意する。
この三年間、ずっともやもやしていたのを晴らそう。
一か八か、神威に告白しよう。
自分の六年分の気持ちを、ちゃんと伝えよう。
***
『ここなら人も少ないし、花火も見れるね』
会場から少し離れた橋の上に移動して一息つく。
人通りは少なく、見晴らしもいい。
「穴場スポットだね」
『今度からここで見ようかなあ』
次見る時も、神威が隣にいればいいのに、なんて考えてしまう。
なんとなくお互いに口を閉じた。
聞こえる喧騒は遠い夢のようで、夜空にはぽつりぽつりと数個の星が浮かんでいた。
夜風が頬を撫でる。
やっぱりまだまだ風はぬるいし、暑いな、なんて思った瞬間。
『うわあ…』
バン、バンと花火の打ち上げが始まって。
綺麗な光が空に散る。
「きれー」
微かに笑みを浮かべる神威を見上げる。
告白するなら、今だ。言わなきゃ、ちゃんと。
神威のことが、好きだって。
私は深呼吸をする。
花火の音が空気を震わせ続けていた。
『あのさ、神威』
「…好きだ」
私の声は、神威に遮られた。
それは、あまりにも、突然の言葉。
神威は私の耳元に口を寄せる。
「Aのこと、好きだよ」
吐息と低い声が、私の鼓膜をくすぐる。
__好きだよ。
ぐるぐると言葉が回って、私は動けなくなる。
神威は、にこりと笑った。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時