オ ウ セ 3 ページ13
Aside
·
離れないでよ、という言葉の響きに、ちょっとドキドキしてしまう。
『う、うん』
伸びた背に、がっしりとした体。
顔のあどけなさは消えていて、神威は本当に男の人で。
__かっこいい、とすとんと思った。
「で、花火っていつ?」
『へ?』
メロン味のかき氷を頬張りつつ尋ねる神威。
『七時半から、打ち上げだけど』
「おっけー」
神威が花火に興味があるイメージが湧かなくて、私は目をしばたたかせた。
花火が打ち上がっている時に、私は神威に告白しようと思っている。時計を見ると、打ち上げまで残り三十分だった。緊張がまた波のようにやってくる。
「Aのかき氷、いちごでしょ?一口ちょーだい」
気づいたら神威が私のスプーンを取り上げて、いちごのかき氷をすくっていた。
『…え!』
ぱくり、とそのまま食べる。
え、神威サン、ソレハ、間接キスデスヨ。
「何、そんなに食い意地はってんの?」
固まって動けなくなった私をけらけらと笑う神威。私は慌てて言い訳する。
『違いますから!け、結局神威もいちごが好きなんじゃん、って思っただけー』
「それこそ違うよ、今食べて思った、やっぱりメロンだね」
はあ、と思わず私は息をついた。なんでこんな突飛なことしてるの、神威。
「あ、Aも俺の食べなよ、わかるよ、メロンのよさ」
『…へ!?いや、私は』
差し出された神威のスプーン。それにのった、緑に染まった氷。
『ええええ、えっと』
「ほら」
また動けなくなっていると、神威はスプーンを私の口に突っ込んだ。
ほんとになにやってんのあんた!
『んー!』
「冷たかった?ごめんごめん」
私は氷を飲み込む。甘いシロップの味がした。
どっどっどっ、と心臓の音が耳元でした。
『ちょ、いきなり、ひどいって』
「そう?Aだからいいかなー、って思って」
私だから、いい。
それは、友達だから、いいってこと?
…それとも、私を恋愛対象として、見てくれてるってこと?
焦らさないでよ、ほんっとにもう。
誤魔化すように私は神威の頬をつねった。
***
高校に入って、無事友達もできた。
私の高校生活のスタートは良好で。十分、と思っていたところで、気がついた。
…なんか私、寂しい?
何でだろう、と考えてもその時はわからなかった。
楽しいのに、なぜか物寂しい。
《Aー!》
ふと甦った、神威の声。
あれ、この声って、こんなに懐かしかったっけ。思い出される神威の笑顔。こんなに眩しかったっけ。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時