検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:649 hit

>>4 ページ4

「ああ、眠い」
「遅くまでゲームやってたんだよな」
「そうそう」
「この会話今日何回目だよ」

いつも授業が終わる度に「眠い」と口にする大河内のお陰で、もう四回もこの会話をした気がする。
五時間目が終わり、本日の授業も残すとこあと一時間となった。

今はトイレからの帰りだ。
「次は社会かあ」
なんて歩いていると、うちの教室の廊下が少し騒がしいことに気づいた。
「どうした」と大河内は近くにいる男子に訊く。
「次の社会、コンピュータ室で調べ学習するんだって」
コンピュータ室に行く度に皆盛り上がるが、パソコンをいじってて何が楽しいのか残念ながら理解出来ない。
まあ確かに昼食後の眠い板書よりはずっといいだろう。

「行くかあ」
「だな」
「……面倒くさ」
「だよな」
大河内の意見に短く同意し、社会の用意を持って教室を出る。

****

「お願いします」
とうとう六時間目が始まった。
コンピュータ室は出席番号順に座るから、隣は大河内の好きな……堀内だ。

「なあ、調べるの半分ずつにしないか?」
彼女は相変わらずのぼんやり。
「おい、堀内」
持っていたファイルで軽く頭をたたいてみる。気づくか?
「……」
俺が息を呑む中堀内は……
「何」
気づいた。

何叩いてんのよ、と言いたげな冷たい目。
……怖い。
「あ、あの、だから、さ、このプリント、上半分俺が調べるから、下半分、調べてくれないか?」
「あれえ、何キョドってんの、藤井くぅん?」
「平田君ちょっとその声をやめよう」
別に堀内を意識している訳ではない。勘違いしないでくれ。

「ん」
堀内は短く了解の返事をし、早速パソコンを……
「速っ!」
カタカタというよりは、ダカダカというような音を響かせながら、彼女は勢いよくワードを打ち込んでいく。
俺はそんな堀内に……見とれていた。
力強くキーボードを打つ細くて長い指。
耳の後ろに掛けていた黒髪が、ぱらぱらと肩にかかっていく。
切れ長の目に、透き通るような肌……
何度も言うが、別に彼女を好きな訳ではない。
しかし今まで皆が美人だと言う中、へえそうなんだくらいにしか思っていなかった。

「何意識してるんだよ、今更」
「違う平田」
確かに美人だとは思った。見とれても……いた、かもしれない。
「はいはい、見とれてないで藤井君もやりましょうね」
そこでまだ俺は一つも調べていないと気づいた。
堀内を見ると……
「できた」
彼女の流れるようなそれでいて読みやすい字で、プリントの下半分が埋められていた。

【お知らせ】→←>>3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:男主 , 中学生 , 市販書き(一次創作)   
作品ジャンル:笑える話, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かぐや | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年7月6日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。