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｢ああ、眠い｣
｢また夜遅くゲームやってたんだ｣
｢そ｣
大河内はゲームが好きで、とても得意なんだそうだ。
何かのゲームで、地方の大会？ 全国大会？ に行ったらしい。というか二年生になってから共に行動するようになった仲だから(この中学は六クラスもあるから話したことがない人が多い)まだ分からないことばかりだ。
大河内は寝癖のついた少し長めの黒髪を揺らしながら、大きく欠伸。
授業中寝ているのもゲームのせいだろう……
頭はよいと言い難いが、彼はゲームの腕の他、運動神経がとてもいい。
何故いつも本を読んでいる俺と仲よくしてくれるのか……よく分からない。
それにこいつは……
｢ねえ、大河内くん！｣
その声の正体は、見なくてもわかる。
俺は服部の登場に顔をしかめたが、大河内は表情を変えずに対応をする。
｢ん、何｣
｢今度のゴールデンウィーク遊ばない？｣
そう、こいつもモテるのだ。
俺の存在が彼女にとって大河内との仲の邪魔なのだとかはもう気にしないことにする。
｢あー……俺部活の大会が｣
｢お願い！ 駄目かな……？｣
｢うん、無理だわ。ごめん｣
｢そっかあ、残念｣
｢じゃあまた今度ね！｣なんて言って走り去っていく服部。頼む、もう来ないでくれ。
大河内も平田も、自分の意見が言えて羨ましい。
まあ女子に付きまとわれるのは羨ましいと思えないが。
｢俺、ああいう女子苦手｣
｢へえ、大河内に苦手とかあるんだ｣
｢そりゃあるだろ｣と言って笑う大河内。
｢何で嫌なんだ？｣
そこで彼は少し考えてから、｢あざといから……？｣
｢分かる、それ｣と、思わず共感。
｢女子は清楚でおしとやかに限る｣
｢へえ、堀内が好きなんだ｣
｢うん……え？｣
彼は急に出た名前に戸惑ったようだ。
｢何で分かった？｣
｢本の読みすぎかな？ よくあることだよ。それにしてもお前分かりやすいからさ。俺が堀内を見てるー……とか言ってきたり｣
まあ普通の男子はこういうことに気づかないのだろうが……(ということも何冊かの本で勉強済みだ)
溜息をつく大河内に質問をしてみる。
｢てか、なんで好きなの？｣
｢タイプだから｣
｢いや、もっとこう、さあ……｣
性格が……とか、こういうときに好きになった……とか。
彼は｢顔も、あの不思議な感じも｣と答えてから、｢お前はいないの？｣と訊いてきた。
｢いない｣
｢つまらねぇ｣と腕を頭に回してむすっとする大河内。
そんなこと言われてもなあ……
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