検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:646 hit

>>2 ページ2

理科の授業では水を分解するという実験をした。
そこでも堀内は何もせずただ水素と酸素が装置に現れるのを見守っていた。
……いや、結果を記入することを手伝ってほしいのだが。
出席番号の近い俺と彼女は、理科室で同じ班になってしまったのだ。


「藤井君、これ片付けて!」
毎度笑顔で実験道具の片付けを押し付けようとするのは、服部だ。
「また俺かよ?」
こいつ、実験だけやりやがって……なんて、絶対言えないけど。

すると彼女は、
「えぇ、駄目……?」
と、上目遣い。
俺はこのわざとらしい仕草が苦手だ。というか、男ウケを狙っている女子が。
恐らく自分が一番可愛く見える角度とか、そういうのを把握済みなのだろう。
もうこれ以上関わるのも面倒なので、俺は渋々引き受ける。

「お前、実験やってばっかじゃね? 片付けもちゃんとしろよ」
俺の代わりにそう言ってくれたのは、平田だ。
彼は男女ともに話せるタイプだから、こういったことも軽く言ってくれる。
俺にとってはとても有難い存在だ。

服部は「だって……」などとぶつぶつ文句を言いながらも、電源装置を片付けに行った。
モテる男子の言うことはきくのか、成程。
納得しながら実験に使った装置を洗っている俺の横で平田は欠伸をし……いやまて、お前も手伝えよ! ……なんてやはり言える訳が無い。

俺は小さく溜息をつき、装置をさっと水洗いした。

……堀内の視線を感じながら。

ん? 俺なんかしたっけ??
彼女の目は、しっかり俺を見ていた。
俺は堀内を見て彼女と目が合ったことから、そう確信した。
しかし目が合った瞬間、彼女はまた焦点の合っていない目に戻っていた。

何故、堀内は、俺を、見ていた?
あの、ぼんやりとしていて、学校一美人だと、言われている、堀内が?

……意味が、分から、ない。

俺はチャイムの音を聴きながら首を傾げた。

>>3→←>>1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:男主 , 中学生 , 市販書き(一次創作)   
作品ジャンル:笑える話, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かぐや | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年7月6日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。