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理科の授業では水を分解するという実験をした。
そこでも堀内は何もせずただ水素と酸素が装置に現れるのを見守っていた。
……いや、結果を記入することを手伝ってほしいのだが。
出席番号の近い俺と彼女は、理科室で同じ班になってしまったのだ。
「藤井君、これ片付けて!」
毎度笑顔で実験道具の片付けを押し付けようとするのは、服部だ。
「また俺かよ?」
こいつ、実験だけやりやがって……なんて、絶対言えないけど。
すると彼女は、
「えぇ、駄目……?」
と、上目遣い。
俺はこのわざとらしい仕草が苦手だ。というか、男ウケを狙っている女子が。
恐らく自分が一番可愛く見える角度とか、そういうのを把握済みなのだろう。
もうこれ以上関わるのも面倒なので、俺は渋々引き受ける。
「お前、実験やってばっかじゃね? 片付けもちゃんとしろよ」
俺の代わりにそう言ってくれたのは、平田だ。
彼は男女ともに話せるタイプだから、こういったことも軽く言ってくれる。
俺にとってはとても有難い存在だ。
服部は「だって……」などとぶつぶつ文句を言いながらも、電源装置を片付けに行った。
モテる男子の言うことはきくのか、成程。
納得しながら実験に使った装置を洗っている俺の横で平田は欠伸をし……いやまて、お前も手伝えよ! ……なんてやはり言える訳が無い。
俺は小さく溜息をつき、装置をさっと水洗いした。
……堀内の視線を感じながら。
ん? 俺なんかしたっけ??
彼女の目は、しっかり俺を見ていた。
俺は堀内を見て彼女と目が合ったことから、そう確信した。
しかし目が合った瞬間、彼女はまた焦点の合っていない目に戻っていた。
何故、堀内は、俺を、見ていた?
あの、ぼんやりとしていて、学校一美人だと、言われている、堀内が?
……意味が、分から、ない。
俺はチャイムの音を聴きながら首を傾げた。
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