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きっと其の十八 ページ18

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「……何だ、この臭い…」

私が正体を告げる前に、国木田が手で鼻と口を(おお)った。腐敗した臭いが周囲を取り囲む。
どうやら、私の立てた仮説は中ったようだ。

「国木田さん…何ですか、此奴等は……」
「知るか、俺に訊くな」
「すみません、囲まれました」
『判った、俺も行く。梶井も少し距離詰めとけ』
『承知!』

骸はズルズルと迫る。想像通り、弾丸など効かなかった。それもそうだ、彼らは既に死んでいるのだから。全身丸ごと焼くくらいしなければ止まらないだろう。

3人は中心に固まり、背を合わせて其々臨戦態勢を取っている。然し、誰も打開策が浮かばない。

「嗚呼……残念だな……」
「…貴方が犯人ですか」
「そう、私が犯人だ」

私が犯人だ、と自己申告する奴なんか初めて見た。ちょっと笑いそうになった。

「お前が操っているのか?一体何なんだこれは!」
「罪人の再利用だ。素晴らしく思わないか?…ああ、これは適当に殺った奴らを引っ張り出してきたンだっけか」
「適当に、殺った奴らだと…?」
「そうそう、いつだっけなあ、観覧車の見える街中だったな」
「矢張り…あの無差別殺人も貴様か」


国木田から怒気が溢れている。
そりゃ被害者は殆ど見つからないわけだ。彼が自分の道具として持ち帰ってしまったのだから。
ここまで腐敗してしまっては、今日此奴を倒し、死体を取り返したところで今更身元など特定できないだろう。

「此奴等は私にとってとても良い働きをしてくれた。初めての被験者たちだ」
「罪も無い一般人を被験者にするなんて…!」
「罪が無いかなんてお前に判るのか、少年?」

死体の隙を縫ってあの男に弾丸を当てられるか…?否、一か八かやるしかない。もう其処まで迫ってきている。

私は散弾銃(ショットガンを)構えた。目を細め、標準を定める。
だが、放つ刹那、横から襲ってきた死体(ゾンビ)を避けたが為に大きくブレてしまった。
これじゃあまるで拉致が明かない、いい加減頭に血も上ってくる。


「おいA、すげえ喧嘩の売り方だな」


大きく外れたはずの弾丸が、的確に男のこめかみを撃ち抜いた。


「……幹部に喧嘩なんて売りません」
「ハハッ、冗談だよ莫ァ迦」


中原幹部が重力操作で弾丸の軌道を変えたのだ。

「コレは俺達に売られた喧嘩だ、手前等は帰ってさっさと報告しろ。"犯人は既に死んでいた"ってな」

死体たちがビチャッと汚い音を立てながら次々と倒れた。


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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2018年2月5日 0時

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